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最高裁判所第一小法廷 平成2年(行ツ)180号 判決

東京都荒川区南千住七丁目一九番一号

上告人

桐林三郎

東京都荒川区西日暮里六丁目七番二号

被上告人

荒川税務署長 清水順

右指定代理人

下田隆夫

右当事者間の東京高等裁判所平成二年(行コ)第三九号裁決取消請求等事件について、同裁判所が平成二年七月三〇日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立があった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の理由について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係及びその説示に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。所論違憲の主張は、右違法があることを前提とするか、又はその実質において単なる法令違背の主張にすぎないところ、原判決に法令違背がないことは、右に述べたとおりである。論旨は、独自の見解に基づき原判決を論難するか、又は原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。

よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 四ツ谷巌 裁判官 大内恒夫 裁判官 大堀誠一 裁判官 橋元四郎平)

(平成二年(行ツ)第一八〇号 上告人 桐林三郎)

上告人の上告理由

原判決は租税特別措置法第三三条の四第三項第一号中「買取りの申出」の法文解釈の誤り及び上告人における残地補償に関する意思表示の時期についての重大なる事実の誤認があるものであり上告人は次のとおり主張せざるを得ない。

即ち公団からの昭和五一年一月一九日の説明は買取りの要素としての残地補償が欠落しており、この時点から、上告人はこの残地補償の意を表明しているのであるから、本件に係る同法同条同項に規定する買取の申出は埼玉県収用委員の裁決日でありその日から三日以内に裁決は確定しているのであるから、被上告人である荒川税務署の更正決定はその法の解釈を誤って適用したものである。以下その理由とするところを述べる。

一 租税特別措置法(昭和六〇年法律第七号による改正前のものをいう。以下(「措置法」という。)第三三条の四第三項一号の「買取り申出」の解釈の誤りの点について

原判決はこの申出は買取物件の特定及び対価の明示を要素としており、その理由として(一)この買取申出は私法上の売買契約の申込であって特段の拘束力を持つものではないこと。(二)従って同申出以後において土地の所有者は売買条件に関し公共事業者と交渉することができること。(三)措置法第三三条の四第三項一号に定める特別控除の特例の規定の趣旨は公共事業用地買収の円滑化の促進を企図する極めて政策的な配慮に基づくものであることの三点を挙げている。

しかしながら(一)については肯定できない。なぜなら判旨が正しいものとするなら土地所有者である上告人がこの係争に係る土地を公団に売りたくないとしたならば、本件事業施行者、埼玉県の代理人である首都高速道路公団(以下「公団」と云う。)に対し「売らない」と返答しても即ち譲渡意思のない旨を告げたとしても、その後何の不利益も受けないはずである。なぜなら判旨にあっては公共事業者の当該買取り申出は私法上の売買契約の申込であるといっているからである。しかしながらこの申出を拒否した場合、最終的には土地収用法の規定により対価の支払いを受けるとはいえ土地そのものは強制的に収用を受けざるを得ないことなるのであり、判旨のように単純に私法上の売買契約の申込とは言い得ず、むしろ私権を取りあげることのできる強力な権利行使のための前提となる行為というべき性質を内包する行為というべきである。このように例え対価の支払があるとはいえ最終的に私権を奪取することのできる権利の行使のための前提条件としての行為である。本件の「買取り等の申出」には一定の要件を己ずから備えるべきものと言わざるを得ず、更にこの要件はこの後に予定されている交渉の資料としての最低限必要となるべき事項が求められるべきものである。

この要件について土地に関して云えば次に示す三点を必要とすべきである。まず第一は判旨でも述べているように対象物件の特定である。第二点は買収される土地の買収価額であり第三点は残地を生ずる場合には残地補償額である。

判旨では前二者のみで良いとするがこの第三点目も要件とすべきである。その理由は(一)買取りをする面積の境界附近における部分では必ず残地を生じるものであること、(二)被買収者側とすれば残地についての価値減少について欠くことのできない重大関心事であること、(三)残地補償が始めより示されることにより土地に関しての交渉資料の根幹部分は網羅されることとなること。

従って措置法第三三条の四第一項の趣旨の公共事業施行者の事業遂行を円滑・容易にするための政策的配慮をより実現し易くするものであることである。(四)逆に公共事業者側において残地補償額について明示でないことがよいとする合理的理由は何ら存在しない。否、むしろいかに公共事業のためとはいえ結果として私権を奪取することとなる手段を内包するものであるから積極的に明示すべきである。

そしてその明示した内容に関し堂々と交渉に応じ早期解決に努力すべきであろう。

ごく一般的にみた場合、土地に関する交渉においては重要事項の一つである残地について当該条項における「買取の申出」成立の要素としないのはまさか土地所有者が、この残地に関し補償を気付かず主張しない場合は、この残地補償は支払わずに済まそうという考えが公団にあったとは考えられないところであるが、もしそうだとすれば公共事業であるとして私権を奪取しておきながら、私人をペテンにかけたまたは無知もしくは過失に乗じて補償すべきものを補償しない行為となり憲法上の財産の補償の規定に反するものであり到底許されるものではない。そのような、考えがないのであれば始めからこれを明示すればよくこれを明示しないとする合理的な理由は存在しないのである。

以上から上告人としては、措置法第三三条の四第三項第一号にいう「買取りの申出」は土地に関しては対象物件の特定、買収部分の買収価格及び残地の生じる場合は残地補償額(補償額が零月であれば零円と表示をすべき)の三点をその要素とすべきものと考える。この立場に立てば判旨は昭和五一年一月一九日と公団から同法同条該当の「買取申出」があったとしているがこの表示には残地補償に係る要件を欠いているため公団からの買取り申出がなされておらず、埼玉県土地収用委員会の裁決の日即ち、昭和五九年六月五日において当該申出がなされたことになり、この裁決の決定の日即ち昭和五九年六月五日が売買成立の日となり措置法の特別控除を受けることが妥当となる。

この点、原審において同法第三三条の四第三項一号の中の「買取り申出」に対する解釈は誤ったものと云わざるを得ないものである。

二 残地補償に関する上告人の意志表示について

原審判旨は二一枚目表九行目ないし同二一枚目裏二行目迄「当初は本件残地の価値の低下等の損失に対する残地補償の要求をしていなかった」こととする点、「公団は原告との交渉を継続的に行ない、その買収価格を増額していったこと等が認められるのであって」とする点、また原審判旨一九枚目裏七行目ないし、同二〇枚目表一行目迄、「右収用手続における審理の際、原告は本件残地は三方が道路に囲まれるなどのため、従来利用していた目的に供することが著しく困難となるから、本件残地を含めて収用することを要求し、仮に残地補償が認められないとしても、残地について生ずる損失を補償すべきであると主張した」として本件交渉中初めてこの時点で残地補償の話が出された点を各々事実として認定している。

更に同判決中一六枚目裏八行目ないし同一七枚目裏一行目迄において昭和五一年一月一九日に公団による買収価格の提示(残地補償の点については不提示)に対し原告は「庭先が買収されることになるので提示された右金額では契約できない旨を主張した」と事実を認定している。

この事実の認定から重大なる事実誤認が存在するものでありこの点について次に指摘する。

(一) 昭和五一年一月一九日の原告の公団に対する主張について原告は「庭先がかかるからこの金額では契約できない」旨を主張したのであるが、この意味内容は実は非常に重要なことなのである。

即ち、買取価格に不満があるのならば「坪単位が低い」とか「この値段でこの附近の土地が買えるものなら買ってみな」とかのような意味の発言(主張)がなされるのが一般的であり「庭先がかかるからこの金額では契約できない」とは言わないものである。

世間では、せめて庭付の住宅と願望しているのが一般的であり、上告人はその庭付の住居の庭の大部分が本件買取りの対象とされてしまったものであるため単に買取り土地の坪単価に買取にかかる土地の坪数を乗じて得た額を土地の補償費として示されたのみの額では、庭の著るしく減少した住居を想像して「庭先がかかるからこの金額では契約できない」と発言したものである。

一般的に考えた場合、庭付住居がその庭を著るしく失すれば残された住居は庭付住宅としての価値の低下したことは十分に認められるところである。

(現実に本件にかかる埼玉県収用委員においても約五四〇万円「昭和五六年七月二〇日現在、買取価格は二〇〇八万円」の残地補償を認めている。)

更に上告人は「売らない」とは言っておらず買取りを拒否したものでもない点からも上告人におけるこの発言は言葉こそ、そのままずばりというのではないが真に残地補償に係る発言であったのである。

原審では、この点を看過しておりあたかも埼玉県収用委員会の審理中に初めて残地補償を申出たように認定していることは重大な事実の誤認をしているものと言わざるを得ない。

(二) 埼玉県収用委員会(昭和五五年七月一四日公団申請による)の審理中に初めて上告人から残地補償の話が出たとする点について

前記(一)に述べたとおり上告人にあって昭和五一年一月一九日に「庭先がかかるからこの金額では契約できない」の発言で公団に対して残地補償の点を主張しているのであるが、公団側から提出されている乙第一号証において残地補償については上告人と公団の間では全く話されていないこととなっており、原審においても、これを基にそのように判旨しているものである。

しかしながらそもそも土地の買取りにあっては、買取りにかかる土地の買収価格と残地の価値減少による残地補償の額がその交渉の根幹をなす(これのみと言っても過言とは言えない)ものであり上告人において「庭先がかかるから、この金額では契約できない」の発言及びその後の交渉の難航している点からみれば、土地の買取りと主たる任務としている公団の担当者が全く残地の点について問題があると気が付かなかったとは到底考えられず、また、残地に関する説明なり話が一切、双方ともに出ないということは通常では非常に不自然であると言わねばならない。

いかに公団の内規によると、本件上告人の残地の場合は残地補償が出ないこととなっているとしても、公団関係の人間でない上告人には、そのようなことを知る由もなく一般的に判断すると本件は、この点に争点があるものであり(買取単価は周囲の土地とほぼ均衡がとれており客観的には争点となり得なくまた上告人がその後種々の要求を出すのも結局、この残地補償の分としての要求である。)上告人が、この点にこだわっていることも十分感知できたはずであり、公団としてはこの残地に関する説明をし説得しなければ交渉の円満解決は図れず、強制力の適用前にこの点の努力による、自主的解決を図るべき職員としての責務があるはずであり、当然にこの残地の点について上告人に存するこだわりを解消すべく話題が出たと見る方がごく自然の流れである。

しかも乙第一号証(交渉経過書)は収容委員会の審理のためにわざわざ書かれたものでありこの元となったメモは本裁判前に既に廃棄されている点を考え合わせるとむしろこの残地補償の話が収容委員会迄全くでないとする事実認定及び乙第一号証には非常に不自然奇異を感じざるを得ないものである。

この点からも十分に審理を尽くしているとは言えず事実誤認を生ぜしめているものと考えるものであります。

(一) 起業者埼玉県の代理人首都高速道路公団第三建設部(以下「公団」と云う)から上告人に手交された租税特別措置法(以下「措」と云う)第三三条の四第三項一に該当した甲第一六号証資産の所有者への交付用公共事業用資産の買取り等の申出証明書は最初の買取申出の性質に関し上告人は原審に於いて此の甲第一六号証は追記から容易に窺はれるように措第三三条の四第三項一号に、該当する性質を有するものであって有効の作用を為、し被上告人にもその写しを提出したのが甲三九号証の公団葛飾用地事務所用地二課課長崎田時哉であると証言で証明しようと証人申請を人証申出にて申請したが(昭六三年一一・一)此の推実こそは証拠の主であるのに原審がこれを看過し「何等これを得め得るべき証拠なし」と速断したのは挙証責任を顛倒した違法あるか或は其採証実験則に違反して違法がある破棄を免れるいものと信ずる。

(二) 措第三三条の四第三項一号の法に従ってなされた甲一六号証の、買取申出証明書によると昭和五六年七月三一日が最初の買取申出に当るがそれは昭和五一年一月一九日が最初の買取申出に当たらないとした場合と被上告人はその旨主張するけれども、これを窺い得べき証拠は乙第一号証三ページ交渉経過書年月日五一・一・一九交渉内容欄である他にこれを窺い得べき証拠は甲第五号証であるが、昭和五一年一月一九日に公団は措第三三条の四第三項一号に該当する買取申出をしたとする証明の書証を上告人に提示しないことは法に反し悪質な行為である措同条第六項の規定に従って買取をした証明書の写、及び買取に係る支払の調書を所轄税務署長に提出する義務を省いたことは趣旨に反し違法があるので買取には、当たらないと上告人は主張したがこの点を看過した原判決は審理不尽理由不備の違法があり原審・控訴判決・破棄を免れない。

(三) 原判決は原審における被上告人申請の宇田川政文は、被上告人の質問、上告人は乙第一号証の交渉経過書三ページ昭和五一年一月一九日欄で残地補償は要求しなかったとはっきりと証言した。上告人側証人の桐林達雄は上告人とともに公団に買収されたあとの残地が間口は半分になって不整形になり補償金の他に残地補償金が加わらないと買収には応じられないと主張したと証人桐林達雄は証言した。その日附は昭和五一年一月一九日かは拾五年も前のことはっきりおぼえていないと証言した。

常に必ずしも事実に合はぬと云う訳ではなく、これを如何に評価するかは事実承審官に委されてなるとは云い経験則を逸脱した様なことは許されないのである。事件に於て証拠の取捨選択について特に留意せねばならなぬことは契約当事者の一方である上告人が昭和五年一月一九日頃本件取引に関する参考資料のないことを宇田川政文は勿論知っている。さらば頼るは宇田川政文が昭和五一年一月一九日当時書いた書証である。その書証は処分したと証言している乙第一号証の交渉経過書は宇田川政文が昭和五一年一月一九日もその前後も書いたのではないと証言している。宇田川政文は交渉経過書に書かれていることを参考にして証言しているのみである。上告人が、昭和五一年一月一九日とその前後に於て残地補償を要求したとの書証が存在しないことを宇田川政文は確信して勝手放題のことを云はしむべきではないが、鬼解利害が相対すればこれ幸と自己に都合の良いことばかりを言いたがるのが経験の示すところである。現に第一審に於ける被上告人証人宇田川政文は交渉経過書に残地補償を上告人に要求されたかされなかったについての記載はないのに上告人の尋問に対し交渉経過書に昭和五一年一月一九日のところに庭先が買収されると書かれているが上告人は約一時間の話し合いの中でその一言しか言っていないと証言したが、上告人側証人桐林達雄の訊問の結果とが重要な点に於て著しく相反したところを見せており後記引用の如く宇田川政文の証言は重要なる点に於て幾多虚偽の証言が敢て為されているのである。然も原判決が引用した第一審に於ける宇田川政文の此の点に関する証言と云うのは昭和五一年一月一九日桐林は庭先が買収されると云ったが残地補償は要求されなかった宇田川政文は上告人の庭先が買収される。だから補償の増額を要求されたことは認める内容の証言をなしたがその補償の名前は残地補償、残地収用かとの上告人の度重なる尋問に対して何度も無言であった。被上告人の尋問に対しては残地補償金を要求されませんでしたとはっきりと証言しているが残地補償を要求しなかったと断ずるは推理の飛躍である。若し宇田川政文が上告人の補償金の増額についてそれが残地補償に当たるのか残地収用に当るのかとの上告人の尋問に対してはっきり答えていない、正しくは黙秘権を行使したのであるから到底原審認定の如き結果には到底し得ないのである。被上告人は上告人は昭和五一年一月一九日その日その前後に於て残地収用を要求したと供述していることからもそれが当たらないことは前記で明白である被上告人の云うことが正しければ上告人の増額は金四阡参百万余円になることになる。然らば此の点に於て原判決は証拠に依よずして事実を認定した違法があるか、さもなくば実験側に違法した採証の違法があり破棄を免れない。更に宇田川政文が右残地補償残地収用の意議を昭和五一年一月一九日その日か前後の収用当時知っていたとすれば乙第一号証の昭和五一年一月一九日の庭先がとられるの後に続き土地の間口が半分になる残地が不整形になり残地の価値が減ずると書かなくてはならないのに、庭先がとられるからこの額では契約できないことから推察すれば当然上告人から残地補償を要求されたなえるところ宇田川政文は庭先が買収されるの一言しか上告人は云っていなかったと証言したが上司には何と報告したかは分からない。宇田川政文の上司は由利高臣という名前の人です。上告人は由利高臣を証人申請したが本人がいやがるので無理強いをせずあきらめた。当時のことは良く記憶していると云っていたので説得して法廷で証言してもらいたかった残念だ。社会通念上起業者が算定した補償金は一度決められてしまった以上は増額しないのが通例である(土地収用法、手続きの保留を除く)上告人が昭和五一年一月一九日その日からその前後に残地補償を要求しても宇田川政文は残地補償を要求されたと交渉経過書を見ても答えられない理由が存在したのかも知れない何れにせよ何人の拠りどころなく然も莫となされ且つ前記の様に自己に有利なことを云い易い立場にある此の宇田川政文の証言を採って甲第一号証を始め前叙の如く上告人主張事実を証する幾多の重要なる証拠を一蹴すると云うことは吾人の経験上何人も許さぬところである。これを敢て為した原判決は心証自由の域を遙に逸脱したものであり実験則に背反した採証の違法あるに帰し此の点に於ても原判決及び控訴審判決破棄を免れないものと信ずる。

(四) 被上告人は原審に於て乙第一号証によって昭和五一年一月一九日が起業者による措第三三条の四第三項一号に該当する最初の買取申出より六ヶ月が経過しても買取がなされなかった、上告人はその当時より残地買取を要求していたと主張して本件更正処分をしたと原審で主張したのに対し、上告人は当時より残地補償金を要求していたと主張した。

甲第五号証に残地補償金が金二、七〇〇、〇〇〇円も欠けているということは対価が明示されていることになる。買取物件も明示されていない。対価と呼ばれる残地補償金は土地・移転費を加えた以上の三本柱で更正されなければならない。すなわち残地補償金が欠けた対価は裁判所があり、書記官等がいて、裁判官がいないに等しい。裁判官に匹敵するのが残地補償金である。今日、九九、九九パーセントは事業用地を買収された後に残地が残るのが現状である。措三三条の四第一甲の立法趣旨どおりにならなくとも重要な対価である残地補償金を欠いた買取申出が日本国憲法第二九条第一、二、三項に違反し、残地補償金を算定し支払おうとしなかったことは土地収用法第七四条第一項に違反することからも措第三三条の四第三項一号に該当しないことになるのに原審は措第三三条の四第三項一号に規定する最初の買取は昭和五一年一月一九日と認定したことは前記の法に反する上告人は原審準備書面(三)九ページ一行目ないし一〇ページ一の一三行目に手続の保留に関して陳述の如く、手続の留意をすると補償金の請求が出来なくなるのは措第三三条の四第三項一号の規定の制約を受ける民事のことなら何の制約を受けない。土地収用法及び措第三三条の四第三項一号の制約を受けるのであるから対価の補償金は前記の法に触れないで算定しなくてはならないのではないか。原審は昭和五一年一月一九日措第三三条の四第三項一号最初の買取申出に該当する理由として私法上の買取契約の申込みであって特段の拘束力を持つものでないとしたことについて上告人の主張はこれを窺い得べき何の証拠はないのか。当審における供述に弁論の全趣旨を合せ考えないで、また、東京高裁昭和四九年一二月二三日判決(昭和四八年行コ)及び横浜地裁五〇行ウ七の判決を容易にこれを知り難きも無暴にして看過し及んだことが窺われるし残地補償金という言葉の意味を知らない宇田川政文の証言を取り上げ桐林達雄の証言を取り下げて上告人の主張を排斥した。これは一応証拠の取捨に関する自由の範囲内にあるかの様な形を備えているが上告人主張の如き事実を認めるに足る証拠は果して一つとしてなかったのであろうか本件に現はれている右記のような事実と証拠を綜合して考へるとき普通の常識を有する者にして原審と同じ考へに到達する者が果してあるであろうか断じて否と答うるに吝でないのである。然らば此れの点に於て原判決は証拠に依らずして事実を認定した違法があるか、さもなくば実験則に違反した採証の違法があるこの点に関しても破棄を免れない。

東京高裁昭和四九年一二月二三日判決(昭和四八年行ウ第七七号所得税額更正処分取消請求控訴事件(第一審昭和四八年一二月一七日横浜地裁判決)

租税特別措置法第三三条の四第三項一号にいう最初に当該申出のあった日とは右の書面を配布した日か(本件五一年一月一九日)・公団の側から買収の基礎となるべき相当の買取申出価額・一応合理的な誠意のうかがわれる申出金額が提示され実質的買取りの交渉が開始されたと認められる時点を指すもの(本件五九年六月五日)

横浜地裁昭和五五年八月一一日行ウ七

買取申出が土地収用法その他の法律に違反し又は若しく不当であるときは公共事業施行者からの買取申出も措三三条の四第〈3〉項一号の規定する買取申出に該らない場合が例外的にあり得ないわけではないと解するのが相当である。例外の場合もあることを明らかにしている。

(五) 土地収用法で買収される場合と民法上の売買の場合と全く同じに論じられるのはおかしい。民法上のものは拒否すれば解決するが行政上の買収は断りきれず最後には強制的に買収される。措第三三条の四第三項一号の規定により最初の買取申出の性質に関し公共事業施行者から申出をすると書かれていることから被上告人が最初の買取申出をする公共事業施行には該当しないよって前記の法に基ずくと昭和五一年一月一九日の補償金算定書は被上告人の主張する最初の買取申出に当らないと原審に於て上告人は主張したこと及び甲第一六号証公共事業用資産の買取り等の申出証明書の記載された買取申出年月日下段に※収用等の二〇〇〇万円、控除の特用を受ける場合はこの証明書を確実申告書等に添付のことと書かれており公共事業施工者事業場の所在地東京都中央区八丁堀二丁目一四番一号事業場の各称首都高速道路公団第三建設部とハンコが押され公団印が押されている。その日付は昭和三六年七月三一日と記載されているのは近隣に紛れもない事実である。甲第四号証の手続の保留、甲第十八号証同第十九号証を甲第三九号証の公団崎田時哉はそれ等を示して最初の買取申出が該当するのは甲第一六号証すなわち昭和五六年七月三一日と断言と原審に於て上告人が主張したのに対し原審は判決で理由を述べないばかりか本件の重要な点である最初の買取申出の性質郡辺に存するのか契約当事者の意志を忖度するに足る資料斯の如く存する拘わらず之を看過し「何等これを認め得るべき証拠なし」となしたのは自由心証、証拠に対する取捨選択の自由についての穿き違ひであり結局其採証実験則に違反した違法があるのでこの点に於ても原判決破棄を免れない。

(六) 上告人は原審に於て起業者公団より甲第五号証補償金算定書昭和五一年一月一九日付を手交された。それは残地補償金、金二、七〇〇、〇〇〇円を欠いた措第三三条の四第三項一号の最初の買取申出と云えるにはほど遠いものであったことと一般的基準を甚しく逸脱したこと(憲法第二九場第一項・二項・三項・土地収用法第七四条第一項)極めて均衡を欠いた著しく不法であることが客観的に明白でその後の買収交渉で上告人は当初より要求していた残地補償金、金二、七〇〇、〇〇〇円を欠いて交渉したこと余りに恣意に基づき上告人の残地補償金二、七〇〇、〇〇〇円の要求を公団が蔑にした極めて不誠実な態度に終始したため六月経過しても解決がおぼつかないものであった。六月を経過する迄に売買契約が成立しないことは分り切っている当該土地を譲渡するよう強いることは余りに上告人には堪え難い、上告が残地補償を当初より公団に要求してからは権利者・起業者として対立していても上告は紳士的に交渉したので公団は措第三三条四第三項一号を順守同法同条第六項を順守したのが昭和五六年七月三一日即ちその日に損失補償協議書を上告人に手交した、項第一六号証の公共事業用資産の買取り等の申出証明書を発行して上告人に手交したことは措第三三条の四第三項一号に該当する最初の買取申出になることは周知の事実であり所轄税務署長にその写し及び調書を公団崎田時哉が提出した事実こそが措第三三条の四第一号に該当することにより措第三三条の四第一項一号の最初の買取申出は公文書に他ならない第一六号証をもって該当すること等により容易に窺はれ得るであろうこれのみに依っても公団の主張を認めるに充分ではあるまいか即ち甲第一六号証資産の所有者への交付用と書かれており資産の所有者者を東京都荒川区南千住七丁目一九番一号とし氏名は桐林三郎となっており事業者草加都市計画道路事業三―一―二八三郷東京線と書かれ買取り等の申出年月日が五六・七・三一と明示され買取り等の区分のところには買取り除去・買取り等の申出をした資産欄に所在地八潮市大字木曽根字上八二八―一〃種類土地、工作物他、数量一三二・〇八m2・一式となっており公共事業施行者事業場の所在地東京都中央区八丁堀二丁目一四番一号事業場の名称、首都高速道路公団第三建設部と表示され※収用等の二〇〇〇万円控除の特例の摘用を受ける場合はこの証明書を確定申告書に添付することでも分るようにこの甲第一六号証の証拠が何の目的でなされたか原審ならずとも遂に解明するに由なきに至るのである。買取申出の性質邦辺に存するのか契約当事者の意志を忖度するに足る資料斯の如く存するに拘わらず之を看過し「何等をこれを認め得るべき証拠なし」となしそのは自由心証、証拠に対する取捨選択の自由についての穿き違ひであり結局其採証実験則に違反した違法があるのでこの点に於ても原判決破棄を免れないものを信ずる。

(七) 公団が昭和五一年一月一九日に補償金算定書を上告人に手交しその後の交渉は上告人が残地補償金を当時より要求したので乙第一号証交渉経過書三ページ交渉内容欄年月日五一、一、一九日に庭先が買収されるとしか書かれていないが被上告人が主張した残地収用を要求したとは思えないのにそれを残地補償を要求しないなどとした原審認定に至りては余りにも世事に疎い情ない見方ではあるまいかまた採証の自由も此処迄逸脱して来ては世話はなく供述と正反対のことを平気で認定しているのには恐れ入るより外はない。公団が一度決めた補償金は一〇〇%増額しないことは周知の事実である。それを公団に聞かなくとも他の起業者もそうだ原審認定の如く以後も売買条件に関して交渉出来るとしたなどと云うに至りてはこれまた余りに世事に疎い情ない見方ではあるまいか。

今日迄公団いや他の公共事業施行者も補償金算定に関しては憲法・土地収容法等に違反してはしていないはずであることは誰でも知っていることでもありその補償金額で買収担当者は権利者に売りなさいと強制しているのが実情であるのに以後売買条件に関して交渉出来るなどと認定したのは盲断で認定したと云わざるを得ない。右認定は事実を推認さしめるに足りる記載なく第一審の認定結果は滑稽笑止に堪えない結論になるのであって原審に於ける認定が常規を逸していると云うことが洵に明瞭である。然るに原判決は採証に関し上告人の主張を排斥したのは結局理由不備の違法あるに帰し原判決破棄を免れない。

(八) 上告人は甲第五号証補償金算定書の合計欄に準備書面(五)で土地関係補償項目欄に残地補償金 金二、七〇〇、〇〇〇円が洩れて同額が欠けて計金八、九二八、六〇〇円と表示され合計欄が金一二、三〇三、一〇八円となるところ金九、六〇三、一〇八円としか合計欄に表示されていないと主張したのに対し原審は客観的に低額でもよいと判決したことは、事件に現はれている右記の様な事実と証拠を綜合して考へるとき普遍の常識を有する者に対して原審と同じ考へに到達する者が果してあるのであろうか断じて否と答うるに吝でないのである。原審は個人的主観の考から判断して速断したものである。甲第五号証の補償金算定書の金額が客観的な金額と云えるにはその金額が対価として認定できるかにある。之の対価が客観的なものかどうかは対価の輪郭がはっきり示されていなければならないと思う。即ち家に例えれば土地、土台があって柱がないに等しい。大きな要素をもつ柱は金額に直すと金二、七〇〇、〇〇〇円になると容易に推定できる。それは土地関係補償金額に対して欠けた残地補償金は三割強に当る。低額の言葉の意味の採り方を此処迄逸脱して来ては世話はなく低額の意味の正反対のことを平気で認定しているのには恐れ入るより外はない。そのような客観的に低額でもよいとした措三三条四第三項一の最初の買取申出の日である甲第五号証の昭和五一年一月一九日付の補償金算定書は意志表示を欠いたものと云わねばならない。買取の意志表示があったとするには不正確なもので大きな柱を欠いたことは意志表示がなかったに等しい右の様な上告人の主張を原審は、これを窺い得るべき何等の証拠なしという者が果たしてあるであろうか。原審はこれらの証拠を措信せず斯の如く存在するものを存在せずと盲断しているのである又前述の様に原審が認定の資料に供した甲第五号証には前説明の様に右認定事実を推認せしめるに足るに記載なく原審に於ける上告人主張の結果は全く認定事項と相反し僅かに原審に於る右認定事項を肯認せしめるようであるが、低額でも良いとするときは前述の様に滑稽笑止に堪えない結論になるのであって原審に於る認定が常規を逸しているということが洵に明瞭である。然るに原判決は採証に関し上告人の主張を排斥したのは審理不尽理由不備の違法あるに帰し原判決破棄を免れない。

原審、控訴審判決は、(甲第三〇号証裁決書にり昭和五六年七月三一日に残地補償金金五、四〇三、一〇八円が違法第二九条第三項、同法第一一条、同法第一二条、同法第一三条、同法第一七条、同法第二九条第一項 同法第二九条第二項 同法第九条第一項の規定によって埼玉県収容委員会が認定したと主張するもの。昭和五一年一月一九日ないし、昭和五六年七月三一日迄の間、前述の憲法は改正されていないことにより昭和五一年一月一九日日残地補償金二七〇万円はあったことは明白である)、前述の憲法の誤った解釈の規定によって措置法第三三条の四第三項一号を摘用した同判決は破棄を免れない。

(九) 公団から上告人に手交された昭和五一年一月一九日附の補償金算定書は残地補償金二、七〇〇、〇〇〇円を欠いたことは憲法第一四条法の下の平等に於て差別され同法第二九条財産権第一、二、三項にそれぞれが違反している。甲第五号証補償金算定書に区分として土地関係欄に残地補償金の文字が印刷されていないことと金額がそれぞれ欠けていることは土地収容法第七条第一項残地補償、残地に関して損失が生ずるのにその損失金、金二、七〇〇、〇〇〇円を補償しなければならないのにそれを欠いたことは同法に違反するものと上告人は原審で主張したのに対し、被上告人は残地補償金を欠いた補償金を具体的金額及び対価を明示したと主張し原審は特段の拘束力をもつものではなくとも一蹴したことは 措三三条の四条三項一号の最初の買取申出に際して憲法第一四条同法第二九条第一、二、三項土地や収用法第七四条第一項に違反しても良いと認定したものと考へられる。本件に現はれている左記の様な事実と証拠を綜合して考へるとき普通の常識を有する者にして原審と同じ考へに到達する者が果してあるであろうか断じて否と答うるに吝でないのである。原審は独自の誤った理由を以って認定を為したのは審理不尽理由不備の違法ありと云わねばならない。

原審は判決で措三三条の四第三項一号の当該土地の最初の買取申出のあった日を日本国憲法第二九条第一、二、三項に違反し、土地収用法第六八条同法第七四条第一項同法第二八条の二に違背してなされても昭和五一年一月一九日より六月を経過した日までに本件土地が譲渡されなかったものであるから本件分離課税の長期譲渡所得について措三三条の四第一項の特別控除の規定の適用を認めることができないことは明らかであると付加えないのか。原審は原審に於ける上告人の供述を軽信し被上告人に於て其主張並に立証がないのであるから上告人が前記の法に買取申出が違反したと原審で主張したのに対し買取申出のあった日に原審は法に違反してなされたか否か確定せねば其の算定は出来ないのである。此の点を看過した原判決は審理不尽理由不備の違法があり原判決破棄を免れない。

原審、控訴審は日本国憲法第二九条第一、二、三項土地収用法第七四条第一項同法第六六条同法第二八条第二項公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱四一条に違反して判決したことは右記より明白であり此の点を看過した原審判決、控訴審判決それぞれ審理不尽理由不備の違法があり原審判決・控訴審判決破棄を免れない。

被上告人は措第三三条の四第三項一号に規定する最初に買取申出のあった日に該当するか否かは通達により決めている。その通達は憲法、法律に違反していても良いと規定されていないのに独自にその算定を自からに都合の良い方向に有利に解釈している。その通達の内容は原審での主張から私法上の売買契約の申込であるから特段の拘束力をもたない以後売買条件に関して交渉できる客観的に低額・正当な補償金額の提示をしなくともよい買取物件の特定及び対価が明示されていればよい。補償金額が客観的に正当価格でなかったとしてもそのことから直ちに右買取申出が措三三条の四第三項一号に該当しないということは出来ない。施行者が交付する特定公共事業資産の買取り等の証明書に記載された日をもって買取り等の申出があった日としなければならないものではない。金額の呈示は必要ないが買取りが客観的に明確に意志表示を必要とすると書いてあることは判例等から窺れる。だが買取申出に際し憲法、法律に違反しても良いとは書いてあるまい。

憲法の財産権の規定に違反した通達は取消が妥当と考える。

(一〇) 被上告人は上告人が残地補償金を要求したのは昭和五五年五月七日に要求したと主張し原審は一七ページ裏一一行目原告は残地の地形が悪くなることからと述べたのが昭和五三年六月一日前頃に残地補償を要求していると認定したが、要求したのは甲第七号証同九・同一〇 同十一月十二―一・二・ 同二〇号証で公団との買収交渉が法に基づいて残地補償金が受けられ、買収交渉が早く纏よう意志表示してきたことから考え合せれば昭和五一年一月一九日から昭和五三年六月一日前頃までに残地補償を要求した証拠が無くとも前記の証拠等により容易に窺れ得るであろう。これのみに依って上告人が昭和三一年一月一九日前後より公団に対して残地補償金を要求してきたとする主張を認めるに充分ではあるまいか。すなわち被上告人は乙第一号証三ページ交渉経過書に書かれた昭和五一年一月一九日前後のことを証人宇田川政文に証言させた。原審での法廷で被上告人の質問、上告人は昭和五一年一月一九日に残地補償を要求したかと聞かれたのに対しはっきりと要求されませんと証言しておきながら上告人からの昭和五一年一月一九日に庭先が買収されるとしか書いていないがどのような補償を要求されたのかと質問に対し無言残地収用か残地補償かとの質問にも無言答えられなかった。答えないのが当たり前であろう宇田川政文証人は、偽証を避けたのだから上告人は庭先が買収されるに続いて間口が半分になり残地の地形が悪くなる等と云ったのに庭先が買収されるの一言しか約一時間にわたる交渉で言わなかったと証言したが、到底信じられるものでない。証言には現はれている左記の様な事実と証拠を綜合して考へるとき普通の常識を有する者にして原審と同じ考へ到達する者があるであろうか断じて否と答うるに吝でないのである。証人宇田川政文の証言乙第一号証に照らして信用できないのに原審認定の様に採証の自由も此が迄逸脱して来ては世話はなく供述と正反対のことを平気で認定しているのには恐れ入るより外はない。然るに原判は採証に関し上告人の主張を排斥したのは結局理由不備の違法あるに帰し原判決破棄を免れない。

原審は昭和五一年一月一九日を措三三条四条第三項一号の最初に買取申出のあった日と認定したのにその日以降の出来事の証拠供述から原審認識の様になった。採証の自由も此処迄逸脱して来ては世話はなく、昭和五一年一月一九日の証拠、供述と正反対のことを平気で認定しているのは恐れ入るより外はない。只第二審に於ける原審の認定に沿う様になっており事実又原審が昭和五一年一月一九日とその日前迄の供述を採用しないのであろうが此の供述と云うものを排斥したのは結局理由不備の違法あるに帰し原判決破棄を免れない。原審・控訴審は昭和五一年一月一九日の買取申出のあった日が憲法・法律に照らしてなされたか、否か憲法第二九条第一、二、三項土地収用法第七四条第一項、同法第六八条 同法第二八条の二項・要綱四一条に違反したことが昭和五九年六月五日埼玉県収用委員会に於て判明したから本件更正は取り消せと証拠供述により主張したのにそれを看過してその日以降の出来事によって措第三三条の四第三項一号の買取申出のあった日に該当すると判決したのは「何等これを認め得るべき証拠なし」となしたのは自由心証・証拠に対する取捨選択の自由についての穿き違ひであり結局其採証実験則に違反した違法があるのでこの点に於ても原判決破棄を免れないと信ずる。

(一一) 控訴審判決は昭和五一年一月一九日付補償金算定書に客観的に正当な価格でなくとも買取申出に当ると聊曖昧な表現を使い、上告人主張の憲法・土地収用法に買取申出が違反との判断を避けて判決した控訴審判決を通続して其社撰なのには驚いた。高裁地裁の判例結果気が緩んだのかも知れない。違憲や判例違反を形式的に避けさえすればあとはどうでもよい理由の不備や齟齬実験測違反はもとより判断違脱凡てお構なしと考へられとても叶わないこれでは国民をして心服させようとする方が無理であろう。残地補償金を欠いた金額を果たして補償金と呼べるであろうか。買取りの意志表示が不明確でなされたことは残地補償金二、七〇〇、〇〇〇円が欠けていたことで控訴審判決の客観的に正当な価格という以前の問題であると信ずる。補償金額は別名対価と呼ばれる。すなわち上告人の財産を起業者に与えその報酬として受け取る財産上の利益これが補償金額イコール対価といえる。控訴審は買取申出に於て憲法第二九条第一、二、三項に違背し土地収用法第七四条第一項に違反してそれがなされても良いものと容易に推定できるいいまわしをしたと判断できる。この控訴審判決は公序良治に反する行為である。控訴審判決及び原判決破棄を免れない。

買取申出に提示された補償金額は土地収用法第六条の第二項、上告人が受けることができる補償その他建設省令で穿める事項について上告人に周知させるために必要な措置を講じないことによって残地補償金を欠いた補償金額と呼べないもので上告人に提示したことは土地収用法第二八条第二項に違反したと云わねばならない。買収申出に提示した補償金算定書に措第三三条の四第三項一号により上告人に最初に当該申出のあった旨を証明する書証を提示しなかったことは明白であるので同条同項一に違反しまた所轄税務署長に最初に当該申出があったことを証する書類の写及び当該資産の買取り等に係る支払に関する調書を提出しなかったことも明白であることなので同法同条第六項に違反原審は原審に於ける上告人の供述を軽信し被上告人に於て其主張並に立証がないのであるから此の点を看過した原判決は審理不尽理由不備の違法があり原判決破棄を免れない。控訴審は右の理由を看過し補償金額が客観的に正当な価格でなかったとしてもと上告人がそれのみでしか理由を述べていないと盲信してそのことから直ちに右買取申出が措第三三条の四第三項一号に該当しないと判決したこと、速断したのは挙証責任を顛倒した違法あるか或は其採証実験則に違反して違法がある破棄を免れないものと信ずる。

公団は甲五〇号証及び甲第一四号証のそれぞれの補償金算定書は措三三条四第三項一号の最初に買取申出のあった日に該当しないとして項第一五号証損失補償協議事と甲第一六号証公共事業用資産の買取等の申出証明書をもって該当するのが、昭和五六年七月三一日と決定したが上告人はそれぞれの買取り等の申出年月日が憲法第二九条第一項に規定した財産権のうちの一つ残地補償金が欠けてなされたことは同法同条第一項に違反し同条同法第二項に規定した残地補償金を含まない財産権は内容を欠いたことにより憲法第二九条第二項に違反した、同法同条第三項に規定した上告人の私有財産残地補強金を割いて土地収用法第三九条収用裁決の申請をなしたことは憲法第二九条第三項に違反したことは土地収用法六八条同法七四条第一項同法第六条第二項公共用地の取得に伴う損失補償其基準要綱四一条にも違反したことになること甲三〇号証裁決書により明白、後記一二により刑法第二三五条ノ二、同法二六二条ノ二、同法第一五五条に違反して買収、収用せんとしたことも甲第二号証、甲第二三号証により明白、すなわち措第三三条の四第三項一号に該当する。最初に買取り申出のあった日は甲第三〇号証裁決書により昭和五九年六月五日と上告人は主張したが、原審及び控訴審は憲法第二九条第一、二、三項の規定の解釈を誤って昭和五一年一月一九日と認定した。甲第五号証及び甲第一四号証の補償金算定書に於ては損失補償について金額の協議が出来ないことになっており、それで協議出来ると解釈して認定した措第三三条の四第三項一号に於ては公団つまり起業者の解釈と正反対の認定をしているので同法の規定に違背して認定した。また甲第一五号証損失補償協議書は文面からも容易に窺れるように損失補償について金額の協議をしますと公団が意志表示しており甲第一六号証の公共事業用資産の買取り等の申出証明書の文面からも明らかなように措第三三条の四第三項一号に該当する最初の買取り等の申出年月日が昭和五五年七月三一日であると公団が主張しているのに措三三条四第二二項一号に違背して誤った認定をしたものである。上告人は甲第三〇号証裁決書に憲法第二九条第一項については残地補償金が含まれたことにより財産権は侵害されていないこと同法同条第二項については残地補償金が補償金の内容に加えられたことにより適合したこと同法同条第三項については土地・移転補償費の外残地補償金を加えて公団が支払ったことにより措第三三条の四第三項一号の規定に該当すると主張した。原審は憲法第二九条第一、二、三項の解釈を誤って昭和五九年六月五日と認定しないことが憲法第二九条第一、二、三項の規定に違背したものである。此の推実こそは証拠の主であるのに原審がこれを看過し「何等これを得め得るべき証拠がない」と速断したのは挙証責任を顛倒した違法あるか或は其採証実験則に違反して違法がある破棄を免れないものを信ずる。

(一二) 上告人は公団から昭和五一年一月一九日附、甲五号証(補償金算定書を手交されたが、区分土地関係補償項目土地買受代金数量一三二・〇八平方メートルは刑法第二三五条ノ二「不動産侵奪」同法第二六二条第二項「境界毀損」に違反して甲第二三号証の土地所有者上告人桐林本件土地の実測図を昭和四八年一二月に首都高速道路公団が摩り替えたその実測図は刑法第一五五条「公文書偽造」に当たる。即ち項第二号証本件土地の残置を含む土地実測図の四辺「本件土地は準正方形である」の長さを八センチ・一九センチ・一三センチ・九センチとそれぞれ縮小して前記公団が製作したものである。上告人は甲第二号証の土地実測図を昭和四三年甲第六二号証の一級建築士・土地家屋調査士斉藤勝に製作を依頼。斉藤勝は八潮町に境界の申請をし八潮町職員が境界に木クイを打って出来たものであった。驚いたことに公団は埼玉県収用委員会に八潮市長各で上告人の境界申請をした斉藤勝の書類は提出されていないと書類を出させた。上告人は平成元年九月二二日原審へ恩他恒治・斉藤勝を人証申出書による両人を証人申請したが却下された。此の点は昭和五一年一月一九日に原審は措三三条四第三項一に買取申出がなされたとして認定しているが、他方その買取申出の日に公団は右のような法に反した行為をしているのである。此の疑いのない事実こそは証拠の主であるのに原審がこれを看過し「何等これを得め得るべき証拠なし」と速断したのは挙証責任を顛倒した違法あるか或は其採証実験則に違反して違法がある破棄を免れないものと信ずる。

(一三) 公団から、上告人に手交した昭和五一年一月一九日附の補償金算定書は措第三三条四第三項一号の最初の買取申出の性質に関し上告人は原審に於て前記補償金算定書は甲第三〇号証の埼玉県収委員会が昭和五九年六月五日に上告人の残地に残地補償金、金五、四〇九、一〇八円の損失補償が認められると裁決したことから昭和五一年一月一九日附の補償金算定書に残地補償金、金二、七〇〇、〇〇〇円が欠けていることは容易に窺はれる。上告人の受けた損失を補償すべき義務を負う公団が土地収用法第六六条、同法第七四条第一項、同法第二八条第二項、憲法第二九条第一、二、三項の規定に違反してなされた性質を有するものであって、法を無視した作用を為しその作用は措第三三条の四第三項一号に該当しないものである。即ち公団が昭和五一年一月一九日附の補償金算定書に残地補償金を提示しなかったのは土地収用法第七四条第一項同法六六条同法第二八条の二項に違反して提示しなかったことこれ明白、更に公団は「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱(昭和三七年六月二九日閣議決定以下「要綱」という。)の四一条で残地補償の損失は生じずとした、その要綱が憲法第二九条第一、二、三項及び土地収用法第六六条、同法第七四条第一項、同法第二八条第二項に違反しているかまたは公団が要綱に違反したかのどちらであることから此の推実こそれは証拠の主であるのに原審がこれを看過し「何等これを得めるべき証拠なし」と速断したのは挙証責任を顛倒した違法あるか或は其採証実験則に違反して違法がある破棄を免れないものと信ずる。

(一四) 被上告人は原審に於て公団は法令及び「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱(昭和三七年六月二九日閣議決定。以下要綱という。)に従い残地補償の要否を綜合的に検討した結果その必要はないものと判断し上告人に対し残地補償を含まない価格で買取り交渉を行いと主張したのに対し原審は土地収用法第七四条第一項及び要綱四一条に従い近隣の用途地域、本件敷地の面積、形状、間口及び奥行、近隣の標準的使用、画地との比較、当該敷地の隣接地との相関関係、本件残地の事業用地率等を綜合的に検討した結果、本件敷地については価格の減少その他の損失は生じず、補償の要はないとの意見を陳述し、本件土地の収用による損失補償については要綱に基づいて算定している旨を公団が原告の敷地収用残地補償の要求に対して収用手続における審理の際陳述したと認定した。甲第三〇号証・裁決書、埼玉県収用委員会は昭和五六年七月二〇日現在本件に隣接する敷地に金五、四〇九、一〇八円の残地補償金を算定したことで昭和五一年一月一九日附の補償金算定書に残地補償金が欠けていたことは容易に窺い伺われる。上告人は原審に於て残地補償金が欠けた昭和五一年一月一九日の補償金算定書は憲法第二九条第一、二、三項、土地収用法第七四条第一項の規定に違反したと主張したのに対し原審は昭和五一年一月一九日と措第三三条の四第三項一号の最初の買取申出のあった日と認定したことは右買取申出が日本国憲法第二九条第一、二、三項、土地収用法第七四条第一項、同法第六六条、同法第二八条第二項の規定、公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱第四一条の規定に違反しても良いと容易に伺はれる判決をした。原審認定の様に採証の自由も此処迄逸脱して来ては世話はなく供述と正反対のことを平気で認定しているのには恐れ入るより外はない。此の点を看過した原判決は審理不尽理由不備の違法があり原判決破棄を免れない。

公団は乙第一号証の交渉経過書で甲第六号証の要望書で残地を特定代替地として買収する旨主張しているが文から容易に伺れる様に事業用地、敷地を一緒に公団が買収すると申出した。すなわち残地収用すると言い出したのは公団で、甲三九号証崎田時哉が自署で書いたものを写したものであること。その手本に従って上告人が書いた甲第一七号証を崎田時哉に手交したことと上告人が正反対の主張をしたのに対し此の点を看過して原審は判決の中で一七ページ裏二行目オないし一八ページ表三行目・一八ページ裏一行目ないし八行目・一九ページ表一一行目ないし一九ページ裏二行目・一九ページ裏七行目7ないし二〇ページ表一行目・二〇ページ九行目ないし二二ページ表六行目・二二ページ裏六行目ないし二三ページ表一行目迄の事実認定をなした原判決は、採証に関し上告人の主張を排斥し嘘つき呼ばわりしたのは結局理由不備の違法あるに帰し原判決破棄を免れない。原審は原審に於ける上告人の供述を軽信し被上告人、公団の云うことは使用出来ると盲信した。すなわち公団が敷地を買収しやると上告人に云う訳がないと決めつけた。上告人は証拠により主張したことは一般条識の意味であること素より論なし被上告人に於て其主張並に立証がないのであるから交渉当時公団が残地を買収するとのことが如何で程あったかを先ず確定せねば其の認定は出来ないのである。此の点を看過した原判決は審理不尽理由不備の違法があり原判決破棄を免れない。

(一五) 上告人に対し公団が昭和五一年一月一九日附で措第三三条の四第三項一号に該当する最初の買取申出のあった日と原審は認定したがその日の買取申出に際し宇田川政文は上告人に支払われるべき残地補償金二、七〇〇、〇〇円を欠いて行ったことは憲法第二九条第一項財産権の侵害をした。その残地補償金の算定は公団が法例、要綱第四一条によって無と算定したと原審は認定した、憲法第二九条第二項の規定により上告人の財産権は同法条第一項で侵害されないと保障されているのに残地補償金、金二、七〇〇、〇〇〇円が買取申出のあった日に算定されなかったことは違反された事実が存在する。また財産権の内容に残地補償金が欠いてなされたことは法令で公共の福祉に適合するように定めているにも拘らず残地補償金を算定しなかったことは憲法第二九条第二項の規定に違反している上告人の財産は私有財産であり敷地補償金、金、二、七〇〇、〇〇〇円が欠けた不当な補償の下に買取申出をしたとする公団憲法第二九条第三項の規定に違反したものである宇田川政文、公団は上告人が上告審に於て却下、棄却により主張がとおらなかった場合には憲法第一七条より上告人の財産権を侵害し敷地補償金、金二、七〇〇、〇〇〇円を算定しなかった不法行為により措三三条四第一項の特別控除の権利を奪ったことにより賠償を求められることを免れない。すなわち公権力の行使に基づいてした措第三三条の四第三項一号の当該資産につき最初に買取申出のあった日と原審が認定した昭和五一年一月一九日の日に上告人の財産権(残地補償金、金二、七〇〇、〇〇〇円)を侵害してしたことは憲法第二九条第一、二、三項土地収用法第七四条第一項同法第六八条、同法第二八条第二項公共団地の取得に伴う損失補償基準要綱四一条上告理由書一、一二に記載の如く、刑法第二三五条第二項同法第二六二条第二項同法第一五五条の規定に違反して前記理由書一、(六)に記載の如く措第三三条の四第三項一号、措第三三条の四第六項の規定に違反してなしたこと昭和五九年六月五日の埼玉県収用委員会の裁決の日迄上告人に残地補償金を欠いて買収せんとしたことは故意又は過失によって公権力を行使して上告人の財産権に損害を加えてしたことは国家賠償法第一条に当たり上告人に求償権が与へられる。被上告人は国税通則法第一条に違反措第三三条の四第三項一号の最初の買取申出があった日が昭和五一年一月一九日と認定した裏には前記の憲法、法令に違反してなされたことを何等にこれを得め得るべき証拠なしと速断して看過し本件更正したことは国税に関する法律関係を明確にすることなく公正な運営を欠いたことにより違反した、国税通則法第一条に違反して更正した被上告人が上告人に納税義務が成立しないのに賦課課税方式により確定したことは国税通則法第一六条第二項の規定に違反した公団が憲法、法律に違反したことを避けて、昭和五一年一月一九日措第三三条の四第三項一号の規定により最初に買取申出のあった日と被上告人は認定した。憲法・法律に違反したことを避けて徴収したことは私法秩序との調整を図らずにしたことにより国税徴収法第一条の規定に違反した、前記の憲法・法令に違反してなされた昭和五一年一月一九日の最初に買取申出のあった日が憲法・法令違反の判断をしないで更正、徴収したことは前記の法に違反をしたというものであり原審に上告人は前記の憲法・法令の違反をした昭和五一年一月一九日は措第三三条の四第三項一号の最初の買取申出のあった日に該当しないと主張したのに対し被上告は上告人の其主張並に証拠に対して被上告人に於て其主張並に立証がないのであるから昭和五一年一月一九日の買取申出が憲法・法令に違反が如何で程あったかを先ず確定せねば其算定は出来ないのである

二(一) 措税特別措置法第三三条の四(以下「措」と云う)第一項の規定が収用等の譲渡所得より三〇〇〇万円を控除する法律である。首都高速道路公団第三建設部(以下「公団」と云う)が上告人の財産権(残地補償金)を欠いて買取申出しても措第三項一号の規定により措第一項の摘用が受けられず納付義務を免れない旨を規定したものであれば措第一項は、憲法の基本的人権尊重の規定に違反し無効である。

(二) 措第三三条の四第一項の規定が収用等の譲渡所得より三〇〇〇万円を控除する法律であるが公団が昭和五一年一月一九日より上告人の財産権である敷地補償金を欠いて、買取申出をしても措第三項一号により措第一項の適用が受けられず納付義務を免れない旨を規定したものであれば措第一項は憲法の財産権を侵してはならないの規定に違反し無効である。

(三) 甲第五号証補償金算定書昭和五一年一月一九日附の土地関係補償金欄に残地補償金が欠けていても原告・控除審も措第三項一に該当すると認定したが欠いた残地補償金は甲第二八号証不動産鑑定評価書岩崎不動産鑑定事務所によると昭和五六年七月二〇日現在残地補償金は金、六、〇四一、一〇〇円になると鑑定したそれは土地関係補償金の三割強になる。昭和五一年一月一九日の土地関係に金八、九二八、六〇八円と提示された金額に三割を乗ずると金二、六七八、五八二円となる。金一〇、〇〇〇円未満を四捨五入すると金、二、七〇〇、〇〇〇円となる。原審控除審が残地補償金、金二七〇万円を欠いた補償金額を措第三項一号の規定の最初に買取申出に該当する認定したことは基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は侵すことのできない永久の権利として現在の国民に与へられる憲法の解釈を誤って認定した。また措第三三条の四第一項に規定する土地にも該当しないことは憲法第二九条第一項により残地補償金を含まないものは財産権として認められないこと明らか、残地補償金、金二七〇万円が欠けても買収に応じなければ措第三項一号により納税義務が生じると国税通則法第一条で規定したものであれば国税についての基本的な事項に共通的な事項から著しくかけ離れ明確にすべき法律関係を看過し、公正であるべき税務行政の運営を誤って納付義務を生じさせたことは憲法第二九条第二項財産権に残地補償金、金二七〇万円を欠いた内容は財産権の内容を定めた旨の規定に反し、認定を誤った控訴審判決破棄を免れない。

(四) 買取申出に於て残地補償金、金二七〇万円を欠いても措第三項一の規定により措第三三条第一項の特別控除がなくなり納付義務が免れないのであれば措第三三条の四第一項は残地補償金が含めて適用されるもの即ち措第三三条の第一項の規定には土地とその土地の上に存する権利の譲渡となっており、その土地の上に存する権利に残地補償金は該当する。金額は実に土地の三割強に当る金二七〇万円が欠けているにも拘らず原審・控訴審は、補償金額と認定したうえ、それは私法上の売買契約の申込であり特段の拘束力をもたない。以後売買条件に関し交渉出来る。客観的に低額でも良い。正当な補償金額を提示しなくてもよい。買取物件の特定及び対価が明示されていればよい。補償金額が客観的に正当な価格でなかったとしてもそのことから直ちに右買取申出が措第三項一号に該当しないということはできないと右判示は措第三三条の四第一項の規定に反しよって措第三項一号には該当しないことは明白であって見当違いのものである。財産権の正当な補償金、即ち補償金額が金一二、三〇三、一〇八円に対して措第三三条の四第一項が該当する。昭和五一年一月一九日に残地補償金、金二、七〇〇、〇〇〇円を欠いての補償金額九、六〇三、一〇八円は財産権の侵害および財産権から残地補償金を欠いた内容、財産権から残地補償金の補償を欠いた補償金額は憲法第二九条第一項、同法同条第二項、同法同条第三項の規定に違反するものである。

(五) 措第三一条第一項の規定が土地とその土地の上の権利の譲渡に於て取得が譲渡の一〇年前になされていれば摘用される規定であるが上告人に対して昭和五一年一月一九日に土地、その土地の上の権利である残地補償金、金二、七〇〇、〇〇〇円を欠いて公団が買取申出をしても措置第三三条の四第三項により措第三三条の四第一項の摘用が受けられず納付義務を免れない旨を規定したものであれば措第三三条の四第一項は憲法第二九条第一項に違反して土地の上の権利残地補償金を欠いたことにより上告人の財産権は侵害された憲法第二九条第二項の規定により土地・土地の上の権利が認められるのに買取申出で、土地のうえの権利残地補償金が省かれたこと、憲法第二九条第三項が土地収用法第七四条第一項の規定により上告人の財産権がある残地補償金で支払われない補償で行われたことで違反に当る。上告人の権利をそれぞれ奪って措第三項一によって昭和五一年一月一九日にした買取申出は憲法第一二条の規定により与えられた権利の自由を、原審、控訴審判決は憲法第一二条の解釈を誤って、残地補償金が財産権の一つであることの解釈を誤ったことは土地収用法第七四条第一項の規定の解釈を誤り、判決したのが土地収用法第七四条第一項の規定に違背し無効であるということである。原審・控訴審は前記のとおり憲法第二条同法第一二条の解釈を誤り同法第一三条で財産権を侵害された上告人に対しては国政の上で最大の尊重をつまり上告人が昭和五一年一月一九日に買取申出をされてそれが憲法第一一条、同法第一二条、同法第一三条、同法第一四条、同法第一七条、同法第二九条第一、二、三項、同法第三〇条、同法第八四条、同法第一二条の憲法の規定に違反して行なわれ、措第一項、措第三項一、措第六項、土地収用法第二八条二項、同法第六八条、同法第七四条第一項、刑法第一五九条、同法第二三五条第二項、同法第二六二条第二項、国税通則法第一条、同法第一五条第一項、同法第二四条、同法第三一条の規定所得税法第一条と実に様々な法に違反して買取申出が昭和五一年一月一九日、昭和五五年七月七日、昭和五六年七月三一日となされたが原審、控訴審は上告人つまり国民の権利について国政の上で最大の尊重をした規定を誤って、看過して判決したことは憲法第一三条の現実に違背して判決したというものであり破棄を免れない。

(六) 措第三項一の規定により上告人の財産権のひとつ残地補償金を欠いて買取申出をしても原審、控訴審が昭和五一年一月一九日に最初に買取申出があったと認定して上告人敗訴としたことは憲法第一四条法の下の平等の規定に反する残地補償金、金二七〇、〇〇〇円を欠いて財産権の買取申出したものと財産権の侵害をしないものと同等に判断したことは憲法第一四条の解釈を誤ってしたというのである破棄を免れない。

公団が上告人の土地、土地の上にある資産を任意によって買収すると昭和五一年一月一九日附補償金額を提示した、甲三〇号証埼玉県収用委員会の裁決書からも容易に窺はれるように買取申出に於て残地補償を欠いたことにより実に様々な憲法・法律に違反してなしたことは近隣に紛れもない事実公団は裁決書に従って敷地補償金額を支払い上告人は受領した原審控訴審が右の事情をつぶさに観察して見なくても上告人に対してした公団の態度は潔よい。非は非と認め昭和五九年六月五日附裁決書に従って財産権のひとつである残地補償金を認め支払ったのだから買取申出に関し原審控訴審も実に様々な憲法、法律違反があったことを看過して判決したことが判決理由によって容易に窺はれる。原審、控訴審判決が認定した公団が上告人に対してした昭和五一年一月一九日以降二回にわたる買取申出には様々な憲法・法律違反した不法行為それは、昭和五九年六月五日迄続いたそれは不法行為に他ならない。上告人が受けた損害はその間の辛苦だけであったろうか。上告人は公団に対して法律の定めるところにより何等かの賠償を求める権利があると云わねばならない。憲法第一七条に違反してなされた昭和五一年一月一九日買取申出は措置法第三三条の四第三項一号の規定に該当しない。控訴審判決破棄を免れない。

(七) 措第三三条の四第一項の規定は土地・土地の上の権利を規定されているように残地補償金、金額にすると金二七〇万円となることは甲第三〇〇号証埼玉権収用委員会の裁決書により明らか原審認定の昭和五一年一月一九日附の最初に買取申出のあった日の補償金算定書には残地補償金の名前は無い。欠けているのである。措第三三条の四第三項一号の規定により納付義務が免れないのであれば措第三三条の四第一項は憲法第三〇条に違反する。法律の定めるところにより納税の義務を負うと規定してあることからも土地の上の権利を欠いたものは納税の義務を負わないのが条識である。即ち上告人が昭和五一年一月一九日に残地補償金を欠いたもので買収に応じていれば納税の義務はないということである。昭和五一年一月一九日の買取申出に土地、土地の上の権利に当る補償金額が補償金算定書に提示されていないのであるから租税特別措置法第三三条第一項、措三三条四第三項一号は該当しないのである。控訴審判決破棄を免れない。

(八) 措第三三条の四第一項の規定は収用等の譲渡所得より金三〇〇〇円を控除する法律であるが公団が土地の上の権利即ち、残地補償金、金二七〇万円を欠いて土地の上の権利としたことにより、措三三条の四第三項一の規定により納付義務を免れない旨を規定したものであれば納税の義務のない上告人に昭和五一年一月一九日にあったと判決した控訴審は憲法第八四条の解決を誤ってしたものである。即ち憲法第三〇条に於ては、本件更正処分は違法であり憲法第八四条で財産権のうちの一つ土地の上の権利を欠いた補償金でも納付義務が免れないとするには現行の租税を変更しない限りは課税出来ないものである。本件更正処分された土地の上の権利、財産権が欠けたものは租税特別措置法第三三条の四第一項、措三三条四第三項一号に該当せず該当すると認定した控訴審判決は憲法第八四条をもって租税特別措置法第三三条の四第三項一号を変更しなければならない控訴審判決この点に関しても破棄を免れない。

措置法第三三条の第一項が同法同条第三項一号に規定する条文は第一項に規定する資産の収用交換等による譲渡が当該資産の買取り、消滅、交換、取りこわし、除去又は使用(以下この条において「買取り等」という。)の申出をする者(以下この条において「公共事業者」という。)から当該資産につき最初に当該申出のあった日から六月を経過した日までにされなかった場合当該資産と書かれています)

右の赤い棒線で引いた資産・当該資産・当該資産を同法の解釈を誤り補償金額と摩り替えて控訴審は買取り申出において提示された補償金額がと判決書二ページ裏四行目中段に記述されています。当該資産と補償金額とでは言葉の意味が全然違います。当該資産を補償金額と摩り替えた控訴審が措置法第三三条の四第三項一号の規定を摘用してもまた、原審が当該資産を買取申出の価格または補償金額と摩り替えて措置法第三三条の四第三項一号の解釈を誤って摘用しても納付義務を免れるい旨を規定したものであれば同法は憲法の基本的人権尊重の規定に違反し、憲法の法の下に平等の規定に違反し憲法の権利の保持の規定に違反し憲法の個人の尊重の規定に違反し憲法の財産権、財産権の内容、私有財産の規定に違反し、憲法の納税の義務の規定に違反し憲法第七六条第三項の規定に違反し土地収用第二八条第二項同法第六八条同法七四条第一項の規定に違反し無効であり原審、控訴審判決破棄を免れない。収用予定地内の土地はやがて売渡さなければならず、必然的に譲渡所得の課税を受けるとすれば税不負担の少なくなる方法を選ぶのは財産保全の知恵というべきものである。甲第五号証昭和五一年一月一九日の補償金算定書に土地関係金八、九二八、六〇八円移転補償費関係金六七四五〇〇円残地補償金、金二、七〇〇、〇〇〇円の合計金一二、三〇三、一〇八円と提示された金額が補償金額と一般に呼ばれるものでありそれは別名対価と呼ばれる広辞苑をひもとけば対価とは或る人がその財産労力など他人に与え、また利用させる場合にその報酬として受け取る財産上の利益と書かれていることからもわかるように上告人が望むと望まざるに拘わらず憲法、法律に従って、対価、即ち、補償金額が起業者によって算定されるところ附属書類の二ページ上段表六行目憲法第一一条ないし二ページ裏一三行目所得税法第一条迄の法律に違反してなしたことにより土地・土地の上にある資産のうち土地の上にある資産、残地補償金を欠いても昭和五一年一月一九日に措三三条の四第三項一号の最初に買取申出のあった日と控除審も認定したことは附属書類の表二ページ表六行目憲法第一一条ないし二ページ裏一三行目所得税法第一条迄の法律の解釈を誤って認定したに等しいことは甲第三〇号証埼玉県収用委員会の裁決書に昭和五六年七月二〇日現在に於て残地補償金、金五、四〇三、一〇八円が認められたことからもそれが昭和五一年一月一九日も金二、六七八、五八二円の残地補償金があったことは容易に窺われるものである。昭和五一年一月一九日から昭和五八年七月二〇日の間に補償金額に関係のある憲法、法律は変更されていることでけだし当然のことである。

(九) 措第三三条の四第一項の規定は憲法第二九条第一、二、三甲に基ずいて上告人の資産即ち財産権(土地・土地の上にある資産の対価)を補償金額に表はしその補償金額が収用によるものであった時に公団に財産権を譲渡した時に特別控除が認められる規定である。措第三三条の四第一項により特別控除が認められ同条第一甲第一号により金額は三〇〇〇万円と規定してある。公団は措第三三条の四第一項及び措第三三条の四第三項一号に規定に違反して(上告人の資産即ち財産権の柱は三本とする。そのうちの一本土地の上にある資産・残地補償金を欠いてなした)欠いてなした得の上の資産は土地の三割強、金二七〇万円である。上告人の資産即ち財産権(土地・土地の上の資産)と認定したことは租税特別措置法第三三条の四第一項の規定にも違反する租税特別措置法第三三条四第一項の土地、土地の上にある資産の解釈を誤ってなしたことにより措第三三条の四第三項一号を摘用したことは添付の附属書類二ページの表上段六行目憲法第一一条ないし二ページ裏上段一三行目所得税法第一条に違反する控訴審判決破棄を免れない。

(一〇) 租税特別措置法第三三条四条一項が、土地・土地の上にある資産に土地の上にある資産・残地補償金二七〇万円を欠いて買取申出をしても措第三三条の四第三項一号が摘用されて納付義務が免れない旨を規定したものであれば公団が上告人に土地、土地の上にある補償等に残地補償金があることも周知させるため必要な措置を講じずにその補償を欠いたことは土地収用法第二八条第二項に違反した、同様に憲法の基本的人権の規定に違反し無効である。

(一一) 公団が上告人の資産即ち財産権(土地・土地の上にある資産)を収用することに因って受ける損失を(土地の上にある権利を欠いて残地補償金の算定)しないことによっても措第三三条の四第一項の規定により納税義務が免れないのであれば措三三条四第一項の規定も公団が土地の上にある権利、残地補償金の補償を昭和五一年一月一九日にしなければいけないところしなかったのであるから土地収用法第六八条に違反し同様にその行為は憲法第一一条、同法第一二条、同法第一三条、同法第一四条、同法第一七条、同法第二九条第一項、同法同条第二項、同法同条第三項、同法第三〇条、同法第八四条の規定に違反し無効である。

(一二) 措第三三条の四第一項の規定が上告人の資産即ち財産権(土地・土地の上にある権利)のうち土地の上にある権利残地補償金二七〇万円を欠いて買取申出しても措第三三条の四条一項の規定により土地の上にある権利を欠いても敷地補償金金二七〇万円が含まれていない補償金で措第三三条の四第三項一号が摘用されて納税義務が免れない旨を規定したものであれば、租税特別措置法第三三条の四第一項、租税特別措置法第三三条の四第三項一一号は土地収用法第七四条(上告人の一団の土地の一部を収用したことに因って残地の価格が金二七〇万円減じたのにその補償をしなかった)の規定に違反し無効である。

(一三) 措税特別措置法、第三三条の四第一項、措第三三条の四第三項一号の規定が買取申出に関し公団が昭和四八年製作の甲二三号証の実測図が刑法第一五五条、刑法第二三五条第二項、同法第二六二条に違反して最初の買取申出がなされても措第三一条第一項、措第三三条の四第一項、措第三三条の四第三項一号が摘用されて納税義務が免れない旨を規定したものであれば同法は憲法第二九条第一項、同法同条第二項の規定に違反し無効である。

(一四) 措税特別措置法第三三条の四第一項、措第三三条の四第三項第一号の規定が財産権を侵害して、(上告人の資産、土地、土地の上にある権利のうち土地の上にある権利、呼名は残地補償金)、残地補償金金二七〇万円を昭和五一年一月一九日の買取申出のあった日に欠いて買取申出をしても措第三三条の四第三項一号が摘用されて納付義務を免れない旨の規定であれば租税特別措置法第二三条の四第一項、措第三三条の四第三項一号は添付の附属書類二ページ表六行目憲法第一一条ないし二ページ裏一一行目刑法第二六二条の二に違反したことで国税通則法(前記の憲法と前記の法律に買取申出が違反していること甲号証により明らかになっているのに課税したことは法律関係を明確にしなかった)第一条に違反し国税通則法(買取申出が種々の法律に違反したことを調査しなかった)第二四条にも違反し国税通則法(納税義務の成立に際し買取申出の時点に於て憲法、法律を看過した)第三二条に違反し無効であることを誤って解釈した原審、控訴審判決は破棄を免れない。

(一五) 租税特別措置法第三三条の四第一項、措三三条四第三項一の規定が財産権を侵害して(上告人の資産、土地、土地の上の権利のうち土地の上にある権利呼び名は残地補償金)残地補償金金二七〇万円の損失補償を欠いても昭和五一年一月一九日に最初の買取申出をしても措第三三条の四第三項一号が摘用されて納付義務を免れない旨の規定であれば、租税特別措置法第三三条の四第一項、措置法第三三条の四第三項一号は所得税法第一条(課税所得の範囲を逸脱したことは明白であることは添付の附属書類二ページ表六行目上段、憲法第一一条ないし二ページ裏一二行目国税通則法第三二条に違反して上告人に本件更正賦課決定処分を行った)の解釈を誤って被上告人が更正処分を行ったことが判明した。

※上告書が挙証の証拠に照らして是認し得るに十分であってその過程に所論の違法があるを見出し難く論旨は所謂原審の裁量に属する証拠の取捨選択、事実の認定を非難するに過ぎないものであって採用の限りでないと却下し、上告人の主張を斥けるのであれば憲法第一一条、基本的人権尊重の規定に違反する同様に国政の上で最大の尊重を必要との規定に違反する更に上告人は法の下に平等であること社会的関係において差別されない規定に違反する即ち憲法第二九条三項と租税特別措置法第三一条第一項及び同法第三三条の四第一項、同法第三三条の四第三項一号は密接な関係で結ばれる、土地収用法第二八条第二項同法第六八条同法第七四条第一項もしかりである、原審、控訴審判決は前記の憲法の解釈を誤り、前記の憲法の違背によって前記の法令に違背したことによって判決したものであり破棄を免れない。

※原審、控訴審は憲法第九八条により憲法第二九条第三項が国の最高法規であって昭和五一年一月一九日に訴外首都高速道路公団第三建設部が買取申出に於て残地補償金を金二七〇万円欠いて行った結果租税特別措置法第三三条の四第一項、同法第三三条の四第三項一号の規定は前記の日には買取申出が効力を有しないのに規定を摘用したのは、憲法第九八条の解釈を誤って判決したのである。

三(一) 残地補償は同一の土地所有者に属する一団の土地の一部を収用することによって残地の価額が減じ、その他残地に関して損失が生ずるときはその損失を補償しなければならないと土地収用法第七四条第一項により規定されているにも拘らず原審判決二〇ページ表二行目ないし一〇行目迄の事実を認定したことは甲第二四号証首公団第一三三号昭和五八年六月二八日により埼玉県収用委員会に公団が意見書に於て陳述していることからしたのであろうが埼玉県収用委員会は残地補償金についても残地補償が補償の要はないとの陳述ではあるが、陳述の裏付をする証拠がなければ残地補償があるのか無いのか判定が出来ないではないかと決めつけられた代物である。埼玉県収用委員会は昭和三八年九月二六日付大宮不動産鑑定所不動産鑑定士切敷幸志(残地補償金、金四、七七七、七二六算定)の不動産鑑定評価書(甲第二九号証)及び昭和五八年一〇月一三日付岩崎不動産鑑定事務所不動産鑑定士岩崎彰(残地補償金、金六〇四、一〇〇円)の不動産鑑定士評価書(甲第二八号証)により残地補償金、金五、四〇三、一〇八円が昭和五六年七月二〇現在あったと甲一二〇号証裁決書で決定した。埼玉県収用委員会は公団の残地補償の要はないとの意見の陳述は(憲法第二九条第三項、土地収用法の補償に関する規定の精神を展開した公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱に基づき適正に算定した結果残地補償の要はない)信用出来ないとした上で前記二名の鑑定士に鑑定を依頼した経緯がある。埼玉県収用委員会は公団に対し上告人の残地補償の要なしとした書証の提出を求めたが公団は書証の提出を拒否(ないものは出せない絶対に無かった)以上、埼玉県収用委員会の認定の事実によれば公団が上告人の残地補償を要なしとしたのは独自の見解であって到底採用することができないと審理の結果結論に達したものであった。

(二) 措第三三条の四第一項・措第三三条の四第三項第一項の規定に反し昭和五六年七月二〇現在で上告人の残地補償金、金五、四〇三、一〇八円を公団が欠いたことにより上告理由書添付の年度別補償を一欄表二ページ表上段六行目ないし二ページ裏上段一三行目の憲法・租税特別措置法・土地収用法・刑法・国税通則法・所得税法に違反して昭和五一年一月一九日買取り申出がなされた措第三三条の四第三項一号に規定する最初の買取申出のあった日に甲第五号証補償金算定書(残地補償金二七〇万円が欠けている)昭和五一年一月一九日が該当すると認定また昭和五一年一月一九日を除くその日以後の公団と上告人の交渉がどのようにして行なわれたかによって信義則に反するというべき特段の事情の有無により措第三三条の四第三項一号の最初に買取申出のあった日を算定したことは憲法第二九条第三項の規定の解釈を誤って原審が判決したことになる。措第三三条の四第三項一号の規定は最初に買取申出のあった日が仮に、原審認定の如く昭和五一年一月一九日であったとしてもその日に憲法・法律に違反してなされたか否かをそれのみで判断すればよいものを昭和五一年一月一九日の翌日の公団と上告人の買収交渉の仕方の理由により措第三三条の四第三項一号の最初に買取り申出のあった日を判断するのは見当違いも甚しい。措第三三条の四第三項一号の規定の解釈を誤って判決をした措第三三条の四第一項の規定が最初に買取申出のあった日昭和五一年一月一九日と原審が認定し昭和五一年一月二〇日以後の公団と上告の交渉の仕方の理由により判決で本件の納付義務を免れない旨を規定したものとすれば同法は憲法の基本的人権尊重の規定に違反し無効である。

(三) 公団は上告人の残地に対する損失補償を要なしと甲第二四号証昭和五八年六月二八日意見書に於て陳述した。残地補償を要なしとした日は昭和五一年一月一九日からであることを原審も認定した。原審は憲法第二九条第三項の解釈を誤り残地補償金 金二七〇万円欠けても同法に違反しないと認定した。

(四) 甲第二四号証意見書に於て当初よりつまり昭和五一年一月一九日より上告人の残地に対する損失補償を要なしとすべきである旨を公団は主張するが独自の見解であって残地補償を要なしとする書証の提出がなければ到底採用することができないと埼玉県収用委員会が下した。

(五) 公団は埼玉県収用委員会の審理の場に於て上告人の残地補償を要なしと認定した裏付の書証の提示を拒否した。残地補償を要なしとした裏付を公団は土地収用法第七四条、要綱四一条により認定したとの陳述を甲二四号証の意見書でした。埼玉県収委員会は上告人の残地補償を甲第二四号証意見書で要なしと認定できない、あるのかないのか判断できないそれでは駄目だ、けだし当然の答弁である。埼玉県収用委員会は権利者には憲法第二九条第三項により正当な補償を起業者にそれを支払わせるのが使命であると言明した。原審判決書二〇枚目表二行目ないし一一行目の事実認定はいささかお先ばしりを免れない。埼玉県収用委員会はそれらを残地補償の要なしとして認定せずに残地補償の要否について鑑定士二名に鑑定させたのだ。埼玉県収用委員会が残地補償の要否を算定するものとして何の証拠能力を無としたものを原審は証拠として採用、また原審判決書二一枚目表二行目ないし八行目金額を提示し迄での認定事実の中で公団はその内部の客観的基準に従って買取価格等補償金額を提示しと原審判決で認定したが、それも昭和五一年一月一九日に上告人の残地補償を要なしとすることはできない。公団の内部の客観的基準は独自の見解に等しく土地収用法第七四条第一項、要綱四一条とは比較できないことは至極当然のことである。埼玉県収用委員会は公団が上告人の残地補償の要はないものと認定した甲第二四号証意見書昭和五八年六月二八日を損失補償として受理したがそれを裏付する証拠が無では駄目と審理の場で決定したということは埼玉県委員会が駄目と認定しないものを原審は認定した。昭和五一年一月一九日をもって措第三三条の四第三項一号にいう最初の買取り等の申出のあった日と認定した原審は右の事実認定を誤って判決したこと公団は独自の見解で上告人の残地補償を要なしと認定したとの陳述を証拠なしで主張することは埼玉県収用委員会は認めるわけには行かない。憲法第二九条第三項、土地収用法第七四条第一項に違背しない様確認をすべきため鑑定を二名の不動産鑑定士に依頼すると決定したこと明らか甲第三〇号証裁決書で公団は憲法第二九条第三項と土地収用法第七四条第一項の規定に違反して昭和五六年七月二〇日現在迄に至る昭和五一年一月一九日から残地補償金、金五、四〇三、一〇八円ないし残地補償金 金二、六七八、五八二円を上告人に支払わないで買取申出をしたことが埼玉県収用委員会の会長及び委員によって判明した。原審は昭和五一年一月一九日措第三三条四第三項第一号に該当する最初に買取申出があった日の認定に際し甲第五号証補償金算定書に公団が憲法第二九条第三項及び土地収用法第七四条第一項の規定に違反して残地補償金二、六七八、五八二円を欠いたことを埼玉県収用委員会は間接的に証明したことを摩り替えて原審は判決書一四枚目一〇行目ないし一四枚目裏一一行目迄に記載の如く昭和五一年一月一九日の買取申出は例外的に、措第三三条の四第三項一号の規定する買取り等の申出には当たらないとする余地があると解すべきであると例外を認定しながら埼玉県収用委員会が昭和五一年一月一九日にも残地補償金が容易に伺われる裁決をしたことからも憲法第二九条第三項土地収用法第七四条第一項に違反して公団が買取申出を行ったことが例外に当るか否か認定すべきところ昭和五一年一月二〇日以降の公団と上告人の間の交渉がどのようにして行なわれようと昭和五一年一月一九日と原審が措第三三条の四第三項一号の当該買取申出のあった日と認定しているのであるからまったく見当違いも甚しい。昭和五一年一月二〇日以後の公団と上告人の売買交渉の内容により措置法三三条の四第三項一号を適用して同条第一項による特別控除を認めるか、認めないことがで信義則に反するという特段の事情があったとは到底認めることがてきないかを判断し、認めないと認定した原審に於ける認定が常規を逸しているということが洵に明瞭である。原審は昭和五一年一月一九日の事を認定すれば足りるのである。原審は憲法第二九条第三項の規定に違反して昭和五一年一月一九日に上告人対し公団が残地補償金を独自の見解により欠いて買取申出をしたことを看過して誤った解釈して、判決したこと明白。原審は昭和五一年一月一九日買取申出のあった日に土地収用法第七四条第一項の規定に違背して判決したこと前記の申述により明白原審の判決は憲法第二九条第一項同法同条第二甲、同法同条第三甲の規定の解釈を誤って措第三三条の四第三項一号最初に買取申出のあった日を昭和五一年一月一九日と認定。昭和五一年一月一九日上告人は憲法第一一条の規定により同日に残地補償金の要ありと認定されるところ原審は基本的人権尊重の規定に違反して要なしと認定して判決したこと上告人は措第三三条四第三項一号の最初に買取申出のあったが昭和五九年六月五日と原審が認定すべきものなのに土地収用法第七四条第一項の規定を違背して昭和五一年一月一九日と認定して判決したことにより原審、控訴審判決破棄を免れない。

四(一) 公団措第三三条四第三項第一号の規定により公団が上告人に最初に買取申出をしたのは甲第一六号証公共事業用資産の買取り等の申出証明書によってしたのが昭和五六年七月三一日であるとしたが原審は甲第一六号証の証拠があったとしても甲第五号証の補償金算定書により昭和五一年一月一九日が措第三三条の四第三項一号に規定する最初に買取申出のあった日と認定したに等しい公団が最初に買取申出をした甲第一六号証(公共事業用資産の買取申出証明書)の昭和五六年七月三一日を措第三三条の四第三項一号の規定により該当しないと認定したことは上告人の財産権を侵害(残地補償金、金二七〇万円は損失補償金の三割強)したことにより憲法第二九条第一項に違反し残地補償金を損失補償金に加算しなかったことは憲法第二九条第二項に違反残地補償金を支払わないようにして措第三三条の四第三項一号の規定により買取申出をしたことは憲法第二九条第三項の規定に違反する起業者埼玉県は都市計画法第五九条の規定により建設大臣あて認可の申請をしたところ申請のとおりの認可があり昭和四八年二月二七日付の官報によりその旨の告示がなされ土地収用法第三一条の規定により手続の保留もあわせて告示されたものである。即ち公団と上告人の交渉は昭和五六年七月二〇日に収用手続が開始される迄は上告人の主張は昭和五一年一月一九日前後から残地補償の要求で補償金の増額公団は甲第五号証を上告人に手交してから甲第三〇号証裁決書昭和五九年六月五日迄の間残地補償は要なしとして上告人の残地補償金の要求に対し残地補償の要なしとして上告人と交渉していたことは乙第一号証の交渉経過書と裁決書により明白、つまり手続の保留がなされていた昭和五一年一月一九日ないし昭和五七年七月八日迄記載の乙第一号証交渉経過書裁決書により公団が上告人の残地補償金の要求に対し一円も支払いたくない、との公団の主張が書かれており遂に昭和五七年七月八日はもとより昭和五九年六月五日迄、公団は上告人へ残地補償金を要なしと独自の見解を展開して貫き通したことは甲第三〇号証裁決書七ページ当事者の主張第一起業者の主張ないし一一ページ記載の如く残地補償の要なしと主張しているがその裏付けとなる証拠を欠いても原審が認定したのは憲法第二九条第一、二、三項、土地収用法第七四条第一項の解釈を誤って最初を昭和五一年一月一九日、二回目を昭和五五年七月七日、三回目を昭和五六年七月三一日に買取申出の日としたことは明らかである。

以上の経過により上告人は公団に対し残地補償を昭和五一年一月一九日より要求しても公団はその要なしと取り合わず年月が徒過したこと明らか、公団と上告人が憲法・法律に基づいて対等に買収交渉が行なわれたのが甲第一五号証損失補償協議書昭和五七年七月三一日であった。それなのに原審は判決書一三ページ表七行目下段土地所有者において以後売買条件に関して右施行者と交渉ができるものと解されることと現実とは正反対の判断をした。起業者が一旦決めた損失補償金は(土地収用法第三一条手続の保留を除く)動かせないのが鉄則であることを原審は分らないのにそれを起業者との交渉で動かせると判断をしたのは余りに世事に疎い情ない見方ではあるまいか、公団と上告人が平等に話し合いのできたのが甲第一五号証昭和五六年七月三一日からである同日を措第三三条の四第三項第一号の規定する最初の買取申出のあった日と認定しなかったことは公団、上告人を社会的関係において差別したことにより憲法第一四条すべて国民(上告人も含まれる)は法の下に平等の規定に違背した。

(二) 措第三三条の四第三項一号の規定が、昭和四八年二月二七日より昭和五六年七月二〇日迄の間、公団が上告人に買取申出ができる原審が昭和五一年一月一九日に最初の買取申出があったと認定したことで昭和五九年六月五日が最初の買取申出があったと認定したことで昭和五九年六月五日が最初の買取申出のあった日に原審が認定しないことにより納付義務を免れない旨を規定したものであれば原審は憲法第一一条、同法第一二条、同法第一三条、同法第一四条、同法第二九条第一、二、三項の規定を違背して昭和五一年一月一九日としたことになる。

(三) 租税特別措置法第三三条の四第一項の規定、措第三三条の四第三項一号の規定が(土地収用法第三一条の規定により手続の保留が官報に告示された、昭和四八年二月二七日より土地収用法第三四条三項の規定により手続開始が官報に告示された昭和五六年七月二〇日迄の期間)土地収用法第三一条の手続の保留がなされている期間でも措第三三条の四第三項一号に規定する最初に買取申出のあった日とすることができるとして原審は同法の規定を誤って解釈違背した。原審は起業者が憲法第二九条第三項の規定及び土地収用法の補償に関する規定(第六章損失の補償)昭和三七年六月二九日政府において閣議決定した「公共用地に伴う損失補償要綱第四一条の規定により上告人の残地については残地補償の要なしと認定したと項第二四号証意見書昭和五八年六月二八日に明らかにしたものを認定した。原審は公団が憲法、法律に基づいて残地補償を要なしと認定したもの残地補償以外の損失補償金も憲法、法律に基づいて認定したものを以後売買条件に関して右施行者と交渉できるものと解されると無責任極まる認定をしている。原審、控訴審判決は右事実認定を誤った、公団と上告人は売買交渉をしなさい。何回でも交渉しなさい、対立しても交渉しなさい(損失補償金を上告人が庭が買収されると残地の地形が悪くなる。間口が半分になる。残地の価額が減価する)上告人が執拗に残地補償金を要求したら相手になってやりなさい、本件の場合は残地補償を公団が絶対に上告人に払わない。何故なら憲法第二九条第二項及び土地収用法第七四条第一項及び要綱四一条の規定により公団が認定したからである。原審・控訴審は公団と上告人が損失補償を出せ、出さないでもめていても措第三三条の四第三項一号の規定より六月が経過したら上告人は同法の規定により措第三三条の四第一項に該当せず納付義務を免れない旨の規定を摘用したのなら、原審は憲法第二九条第三項、土地収用法第七四条第一項、憲法第一一条、憲法第一四条、憲法第一三条規定に違背して判決をした。

(四) 土地収用法第三一条の規定により手続の保留が官報に告示された昭和四八年二月二七日より土地収用法第三四条の三項の規定により手続開始が官報に告示された昭和五六年七月二〇日迄の期間に於ては措三三条四第三項一号の規定する買取申出が何回行なわれようと、該当しないと規定されていなければ措第三三条の四第三項一号は憲法第一一条及び憲法第二九条第三項の規定に違反するまた土地収用法第六章損失の補償第六八条ないし第九〇条第四項に違反する。原審が措第三三条の四第三項一号の解釈を誤って保留期間中である昭和五一年一月一九日を措第三三条の四第三項一号に規定する最初に買取申出があった日と認定したこと(保留期間の切れた昭和五六年七月二〇日を措第三三条の四第三項一号に該当することになり)措第三三条の四第一項、措第三三条の四第三項一号の規定に違背して判決した。

(五) 甲第一五〇号証損失補償協議書昭和五六年七月三一日付も上告人の残地補償の要求に対し憲法第二九条一、二、三項に違反、土地収用法第七四条第一甲に違反して公団が措第三三条の四第三項一号に規定する。最初に買取申出をした日である即ち原審、控訴審判決は昭和五一年一月一九日が最初に買取申出がなされたと認定したことで、憲法第七六条第三項に違背して、憲法第二九条第一項、二項、三項の規定違背してまた土地収用法第七四条第一項の規定に違背して上告人の損失の補償の要、残地補償金、金二七〇万円を欠いてしても措第三三条の四第三項一号に該当すると認定し判決したことは同法の規定の解釈を誤った。同様に甲第一四号証補償金算定書、昭和五五年七月七日附甲第一五号証損失補償協議書昭和五六年七月三一日附も該当しないことは右の理由により明らかである。原審及び控訴審は上告人が憲法、法律により措第三三条の四第三項一号に規定する最初に買取申出のあった日を昭和五九年六月五日被告人は昭和五一年一月一九日か昭和五六年七月三一日と主張するのであるから、その日の損失補償が憲法法律に照らしていずれが該当するのかを認定しないのが違法であるというのである。原審控訴審判決に比して埼玉県収用委員会の裁決は憲法・法律に基づいて上告人主張の通り昭和五九年六月五日に損失の補償を決定して新に残地補償金、金五、四〇三、一〇八円が欠けているとして起業者に支払うよう裁決したことが憲法・法律を順守したことになる。

(六) 原審控訴審判決は昭和五一年一月一九日が措第三三条の四第三項一号に規定する最初に買取申出のあった日に残地補償金二七〇万円を欠いても該当すると認定した(認定したに等しい)ことは憲法第二九条財産権の規定の解釈を誤ってした措第三三条の四第一項に定める特別控除の特例の趣旨は、公共事業施行行者の事業遂行を円滑かつ容易にするため資産譲渡に協力した者のみその補償金に対する所得税について特別の優遇措置を講じもって公共事業用地の取得の円滑化を図る趣旨の極めて政策的な考慮に基づく規定と解されることに鑑みると、たとえ買取申出の価格が鑑定の結果等に照らして客観的に低額であったとしても買取物件の特定及び対価が明示されていれば、その申出は措置法第三三条の四第三項第一号の買取り等の申出に該当するものというべきであると原審・控訴審が昭和五一年一月一九日と認定して判決したことが憲法第九七条第一項の規定に違背するというものである。即ち憲法第二九条第一、二、三項同法第一一条、同法一二条、同法一三条、同法第一四条は国の最高法規であってその条規に反する措三三条四第三項一号の規定(原審・控訴審が措三三条四第三項一号の解釈を誤って昭和五九年六月五日とすべきところ昭和五一年一月一九日としたこと)は効力を有しないというものであり破棄を免れない。

(七) 原審、控訴審判決で措第三三条の四第一項に定める特別控除の特例の趣旨が判断どおりであったとしても鑑定の結果憲法第二九条第一、二、三項土地収用法第七四条第一項、要綱四一条に違反して残地補償金二七〇万円を欠いて公団が上告人に昭和五一年一月一九日に対価を示さないで(原審は対価を示したと認定したが)した右認定は措第三三条の四第一項に規定する土地と、土地の上にある資産の解釈を誤って判決したことになり同法に違背してなした。即ち対価を構成する土地の上にある資産、残地補償金、金二七〇万円を欠いていることは鑑定結果より明白である対価は土地という大きな柱と土地の上にある資産の柱とで構成されるべきところ、原審・控訴審は土地の上にある資産残地補償金、金、金二七〇万円(土地の柱に対し三〇パーセント強)を欠いても対価と認定したことが措第三三条の四第一項の規定に反するというものであります。したがって買取申出において原審・控訴審は上告人に提示された補償金額が客観的に正当な価格でなかったとしてもそのことから直ちに右買取申出が措置法第三三条の四第三号一項にいう買取り等の申出に該当しないということはできないからと認定していることも措第三三条の四第一項の規定の解釈を誤っている。土地の上にある資産の残地補償金、金二七〇万円を欠いてしまった対価は(上告人になされた昭和五一年一月一九日の買取申出は補償金額とは云えない憲法第二九条第一項、二項、三項、土地収用法第七四条第一項に違反している)措三三条四第一項の規定する土地、土地の上にある資産の解釈を誤って補償金額と認定したものだからであります。

土地の上にある資産残地補償金、金二七〇万円(土地に大して三〇%強)を欠いた補償金額が客観的に正当な価格でなかったとしてもに至っては原審・控訴審は憲法第二九条第一、二、三項、土地収用法第七四条第一項の規定の解釈を誤ってしたとしか考えられません。土地の上にある資産(残地補償金二七〇万円)を欠いた補償金額が果して果して客観的と呼ぶ者が果してあるであろうか断じて否と答うるに吝でないのである。この点に関しても措第三三条の四第一項の規定を誤って判決している。正当な価格でなかったとしても至っては憲法第二九条第一、二、三項の規定など屁とも思わない認識をもって本訴請求を棄却したとしか思われません。憲法第九八条第一項の規定を誤って買取申出を昭和五一年一月一九日としたこと、憲法第七六条第三項の規定に違背して買取申出を昭和五一年一月一九日としたこと土地収用法第七四条第一項の規定を違背して買取申出を昭和五一年一月一九日としたことにより原審・控訴審判決破棄を免れない。

原審は公共事業施行者の買取申出が私法上の売買契約の申込であって特段の拘束力をもつものではなくと認定して昭和五一年一月一九日が買取申出と認定したことは措第三三条の四第三項一の規定に反する。同条は昭和五一年一月一九日より昭和五一年七月一九日迄に土地の上の資産残地補償金、金二七〇万円を公団が欠いて買取申出をし買収を強いてしても上告人はその期間内に応じなければ措第三三条の四第一項の特別控除が受けられない規定であればその買取申出は私法上の売買契約の申込みでは無く特段の拘束力を持つものである。

原審の右認定は措第三三条の四第三項一号の規定の解釈を誤って買取申出のあった日を昭和五一年一月一九日としたものである。

原審は土地所有者に於て昭和五一年一月一九日以後売買条件に関して公団と交渉することができるものと解されることと認定しているが公団は土地収用法七四条及び要綱四一条に従って上告人の土地の上の資産を算定して残地補償の要なしと決定したものを上告人が土地の上の資産、残地補償金(金二七〇万円は鑑定の結果算定された昭和五六年七月二〇日現在から昭和五一年一月一九日に金二七〇万円であることは容易に窺はれる)を公団に要求し交渉したところでどうなるものでもない。公団が憲法第二九条第三項の規定及び土地収用法第七四条要綱四一条により残地補償金の要なしと認定したものを原審・控訴審は上告人に何を強いるのか、上告人は無抵抗、丸裸である。

原審、控訴審の右認定は(公団が上告人と同じ土俵の上で対等に買収交渉が行なわれるものと誤って認定したことは)上告人の基本的人権の享有を妨げるものであること明白憲法第一一条の規定に違背した同様に憲法第七六条第三項の規定する(原審、控訴審の裁判官は憲法第二九条第一項、二項、三項に違背して買取申出を昭和五一年一月一九日とした)憲法第二九条第一、二、三項、土地収用法第七四条第一項の規定の摘用をしないで買取申出を昭和五一年一月一九日にしたことが憲法第七六条第三項の規定に違背して判決したというのである。

措第三三条の四第一項に定める特別控除の特例の趣旨が公共事業施行者の事業遂行を円滑かつ容易にするため資産の早期譲渡に協力した者に対してのみその補償金に対する所得税について特別の優遇措置を講じ、もって公共事業用地の取得の円滑化を図る趣旨の極めて政策的な考慮に基づく規定と原審、控訴審は判断するが、土地収用法第七四条第一項の規定の解釈を誤って第二九条第一項、第二項、第三項に違反しても(鑑定の結果により昭和五一年一月一九日に土地の上の資産、残地補償金、金二七〇万円が欠けていることが判明)措第三三条の四第三項一号の規定により措第三三条の四一項の特別控除が受けられない旨を規定したものであれば、原審、控訴審判決が買取申出があった日を昭和五一年一月一九日と誤って認定したことは憲法第一一条、同法第一二条、同法第一三条、同法第一四条、同法第二九条第一項、第二、三項、第七六条第三項、同法九八条第一項の規定に違背して措第三三条の四第一項を摘用したものであり破棄を免れない。

原審、控訴審は買取り申出に於て客観的に正当な補償金額を提示しなければならないものではないとして上告の土地の上にある資産、残地補償金、金二七〇万円が欠けていた。昭和五一年一月一九日が措第三三条の四第三項一号に該当すると認定したことは、憲法第二九条第一項、第二項、第三項の規定の解釈それに土地収用法第七四条第一項の規定の解釈を誤って認定、判決した。憲法、法律の規定により上告人に土地、土地の上の資産の損失補償を算定、即ち土地の上の資産、残地補償金、金二七〇万円を欠かずに支払って公共のために用いると憲法第二九条第一項、第二項、第三項に規定されているのに原審、控訴審は買取申出に於て客観的に正当な補償金額という実に不可解な言葉をもって昭和五一年一月一九日としたことは憲法第七六条の規定に違背して認定判決した。客観的に正当な補償金額を買取申出の時にしなければならないものではないからと原審、控訴審が認定したが、それが該当するのは措三一条第一項の規定に該当するもので措第三三条の四第一項に該当しないものが摘用されるところと混同し認定したことであります。憲法第二九条第一項、第二項、第三項、土地収用法第七四条第一項の規定を違背して、(客観的に正当な補償金額の反対語、客観的に不当な補助金)買取申出のあった日を昭和五一年一月一九日と認定したこと明らかであります。

客観的に不当な金額でも措第三三条の四第三項一号に規定する最初に買取申出のあった日(昭和五一年一月一九日)に該当すると認定した原審、控訴審の裁判官は憲法第七六条第三項の規定に違背して認定したこと確実また憲法第九八条第一項の規定に反し憲法第二九条第一項、第二項、第三項が国の最高法規であってその条規に基づかないで認定したこと明らか原審、控訴審判決破棄を免れない。

原審、控訴審は昭和五一年一月一九日が措第三三条の四第三項一号に規定する最初に買取申出のあった日と(憲法第二九条第一項、第二項、第三項、土地収用法第七四条第一項に違反しても)認定しながら昭和五一年一月一九日のことを考慮して判決するのならいいが、その後の交渉経過に於て買取申出を昭和五一年一月一九日と認定した原審、控訴審は憲法第二九条第一項、第二項、第三項、土地収用法第七四条第一項の規定が昭和五一年一月一九日には摘用されないと故意に度外視して違背した。

上告人は本件収用裁決の日である昭和五九年六月五日をもって最初の買取り等の申出の日とすべきである旨を主張したが、原審、控訴審は独自の見解であって到底採用することができないと認定したが、原審の認定は昭和五一年一月一九日の損失補償金算定書には土地の上の資産残地補償金、金二七〇万円が欠けている(昭和五六年七月二〇日現在残地補償金、金五、四〇三、一〇八円が欠けていることが鑑定結果により判明したことにより昭和五一年一月一九日に鑑定結果により土地の上の資産、残地補償金、金二七〇万円が容易に算定される)ことは昭和五一年一月一九日措第三三条の四第三項一号に規定する最初に買取申立のあった日に該当すると認定した原審は憲法第二九条第一項、第二項、第三項、土地収用法第七四条第一項の規定に違背して又、原審、控訴審の裁判官は憲法第七六条第三項の規定を誤って解釈(違背)したことは憲法第九八条に規定する解釈を誤って国の最高法規憲法第二九条第一項、第二項、第三項の規定、土地収用法第七四条第一項の規定を昭和五一年一月一九日に摘用しなかったことが憲法第七六条第三項、同法第九八条第一項の規定、違背して判決をしたということができます。

原審、控訴審判決の理由こそが前記の憲法、法律に違反、違背して昭和五一年一月一九日が措第三三条の四第三項一号に規定する最初の買取申出のあった日としたものであります。これこれ独自の見解というべきである。

最高裁判書に於てこの上告理由書が受理され、上告理由ありとされ、口頭弁論が開かれた結果、原審、控訴審判決が破棄され、上告人勝訴となれば措第三三条の四第三項一号に該当する最初に買取申出のあった日は昭和五九年六月五日となり、上告人は公団へ六月以内に土地、土地の上の資産を売渡したので昭和五九年分の分離課税の長期譲渡所得金額の特別控除額は金三、〇〇〇万円となり被上告人が昭和六二年二月二八日付けで上告人の昭和五九年分所得税についてした更正のうち納付すべき税額四七万一〇〇〇円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定が取り消されることになります。

五(一) 資産とは金銭に見積り得る積極財産と広辞苑(岩波書店)に記されています。

積極財産とは或る人に属する財産権の総体と広辞苑(岩波書店)に記されています。

財産権とは経済的利益を目的とする権利です。

総体とは物事のすべて・全体、のこらずの意味です。

(二) 租税特別措置法(昭和六〇年法律第七号による改正前のものをいう。以下「措置法」という。)第三一条第一項は上告人が有する(その土地・若しくは土地の上に存する権利。以下「土地等」という。)土地等を昭和五九年七月に譲渡をしたが、当該譲渡が昭和四三年に取得した土地等の譲渡であったので右規定が摘用されたのである。

(三) 公団が昭和五一年一月一九日附用の項第五号証補償金算定書に於て本件残地に生ずる損失の補償金、金二七〇万円を欠いても措置法第三三条の四第一項に規定する土地の上に存する権利に該当するとして措置法第三三条の四第三項一号の規定の摘用により納付義務が免れないと認定したことは、原審、控訴審が憲法第二九条第一項の財産権の解釈(公団は土地の上の権利、金三、三七四、五〇〇円存するところ金、六七四、五〇〇円が土地の上の権利としたこと)を誤って上告人の財産権を侵害して判決した。

公団が昭和五一年一月一九日附の甲第五号証補償金算定書に於て本件敷地に生ずる損失の補償金、金二七〇万円を欠いても措置法第三三条の四第一項に規定する土地の上に存する権利に該当するとして措置法第三三条の四第三項一号の規定を摘用して認定したことは(財産権の内容はその土地若しくは土地の上に存する権利であるにも拘らず、土地の上に存する権利のひとつ残地補償金「昭和五六年七月二〇日現在、金、五、四〇三、一〇八円・昭和五一年一月一九日現在金二七〇万円」を欠いた)憲法第二九条第二項の財産権の内容の規定に違背して原審、控訴審は判決した。

(四) 公団が昭和五一年一月一九日附の甲第五号証補償金算定書に於て買取物件を欠いて買取申出を行ったのに原審が判決書一、二ページ表三行目ないし一二ページ表六行目迄。公団は原告に対し昭和五一年一月一九日、買取物件を本件土地(昭和五七年一一月一日分筆前の埼玉県八潮市大字木曽根字上八二八番一所在の宅地のうち一三二・〇八平方メートル)として特定しと事実認定しているが何を証拠にして認定したのか甲第五号証補償金算定書には物件所在地、東京都区と印刷されているだけであることは近隣に紛れもない事実、原審認定の様に採証の自由も此処迄逸脱して来ては世話はなく、甲第五号証補償金算定書と正反対のことを平気で認定しているのには恐れ入るより外はない(上告人は昭和五一年一月一九日附補償金算定書を第五号証として原審へ提起、被上告人は成立を認めた)原審は措置法第三三条の四第三項一号の規定により買取物件を欠いて買取申出をした昭和五一年一月一九日を最初に当該申出のあった日と認定したことは措置法第三一条第一項、同法第三三条の四第一項、同法第三三条の四第三項の法令に違背した。即ち、買取物件を記載しないで前記の法令に土地等として該当するとした原審は前記の法令の解釈を誤って認定したというものである右、原審の事実認定の重大な誤認と前記の法令に違背して措置法第三三条の四第三項一号に認定する最初に買取申出のあった日を昭和五一年一月一九日と認定した原審判決は破棄を免れない。

(五) 措置法第三三条の四第三項一号が上告人の有する土地等の損失補償から土地の上に存する権利(残地補償金昭和五六年七月二〇日現在、金五、四〇三、三〇八円、昭和五一年一月一九日現在金二七〇万円、昭和五五年七月七日現在、金四五九万円)を欠いても収用による当該資産の譲渡が公団から最初の買取申出があった日に該当するとして昭和五九年分所得税の納付義務を免れない旨を規定したものとすれば同法は憲法の私有財産の規定に違反し無効である。

(六) 措置法第三三条の四第一項は同条第三項一号により公共事業施行者から当該資産につき最初の買取り等の申出のあった日から六月を経過した日までに当該資産が譲渡されない場合には右特例は摘用されないと規定されているが、公共事業施行者の代理人である公団は原告に対し買取物件を欠いて、また土地の上に存する権利(残地補償金二七〇万円を欠いて財産権の侵害をし、土地の上に存する権利残地補償金、金二七〇万円が当該資産に含まれないと決めたものを財産権の内容とし、昭和五一年一月一九日附損失補償書甲第五号証を上告人に手交したにも拘わらず、原審、控訴審は、昭和五一年一月一九日を同法の規定による最初の買取り申出のあった日と認定するに当り、当該資産土地の上に存する権利、残地補償金、金二七〇万円を欠いた(当該資産、土地の上に存する権利・残地補償金を含め金三、三七四、五〇〇円があるところ、金六七四、五〇〇円しかないと公団は決定した)即ち当該資産土地の上に存する権利が二〇パーセント弱しか無いものを同法に云う当該資産に該当するとして措置法第三三条の四第三項一号の規定する最初に買取申出のあった日に認定する者が果してあるであろうか。原審、控訴審は同条第一二項第一号に規定する当該資産のうち土地の上に存する権利が二〇パーセント弱のものでも該当する(買取り申出の価格が鑑定の結果等に照らして客観的に低額であったとしても良いと認定したことは、憲法第二九条第一項の規定に違背して判決したことになります。当該資産のうち土地の上に存する権利(残地補償金、金二七〇万円)金三、三七四、五〇〇円のところ、金六七四、五〇〇円でも措置法第三三条の四第三項一号に規定する最初の買取り申出のあった日に該当すると認定した原審、控訴審判決は財産権の内容の解釈を誤ったことにより憲法第二九条第二項に違背して判決したということができます。

(七) 措置法第三三条の四第三項一号の買取りの申出が公共用地の取得とはいえ当該資産のうち土地の上に存する権利(鑑定結果により残地補償金、金二七〇万円)を欠いても又、買取物件を特定せずに同法の規定の当該資産に該当するとして昭和五一年一月一九日に最初に買取りの申出にあった日と認定したことは同法の規定の解釈を誤って納税の義務ありとしたことは憲法第三〇条の規定に違背して、又措置法第三三条の四第三項一号の法令に違背した原審、控訴審は破棄を免れない。公共用地の取得であるから憲法第二九条第一項、第二項、第三項、土地収用法第七四条第一項に違反しても構わないとするならそれは憲法の許容しないことであります。また私法上の売買契約の申込だから、特段の拘束力をもたないから、以後売買条件で交渉できるからと云って財産権を侵害しても良いとすることはできない。措置法第三三条の四第一項に定める特別控除の特例の趣旨が公共事業施行者の事業遂行を円滑かつ容易にするためなら上告人の財産権を侵害しても構まないとは規定されているわけはない。資産の早期譲渡に協力した者に対してのみその補償金に対する所得税について特別の優遇措置を講じると言っても上告人の財産権を侵害しても資産を早期譲渡(六月以内)にしなければいけないとは同法の規定にはなされていないはづであるし、憲法第二九条第一項に違反・土地収用法第七四条第一項に違反した上告人の当該資産と他の土地所有者の資産が憲法第二九条第一項、土地収用法第七四条第一項に違反しないものと措置法第三三条の四第三項一号の規定を同じに解釈しても良いとは規定されてはいないはづであります。しかも、公共事業用地の取得の円滑化を図る趣旨の極めて政策的な考慮に基づく規定と解されるとは云っても憲法第二九条第一項、第二項、第三項、土地収用法第七四条第一項に違反してもお構いないしと規定されていはないはづでありますのに原審、控訴審は措置法第三三条の四第三項一号及び憲法第二九条第一項、第二項、昭和五一年一月一九日の買取申出のあった日に於て当該資産のうち土地の上の権利、残地補償金、金二七〇万円を欠いてしたことは憲法第二九条第三項に違背して判決したと同様に、土地収用法第七四条第一項の規定に違背して判決した破棄を免れない。

措置法第三三条の四第三項一号に規定する当該資産とは昭和五一年一月一九日附損失補償金甲第五号証に一、土地、二、残地補償金、三、移転補償金と三部門に分けられ

一、土地 金 八、九二八、六〇八円

二、残地補償金 金 二、九〇〇、〇〇〇円

三、移転補償金 金 六七四、五〇〇円

右二、残地補償金、金二、七〇〇、〇〇〇円を加えて、金一二、五〇三、一〇八円が同法に規定する当該資産というものであるのに、一、土地、金八、九二八、六〇八円と三、移転補償金、金六七四、五〇〇円しか加わらない金九、六〇三、一〇八円は同法に規定する当該資産ということができないのに、同法の規定に昭和五一年一月一九日が最初に買取り申出のあった日と認定した原審、控訴審判決は憲法第二九条第一項、第二項、第三項の規定の解釈を誤って認定、土地収用法第七四条第一項の規定の解釈を誤って認定した。同様に措置法第三三条の四第一項の規定に、同法第三三条の四第三項一号の規定を摘用をした。当該資産の解釈に当り憲法第二九条(第一項、第二項、第三項)違背、土地収用法第七四条第一項の規定に違背して判決したものであると云えます。

(八) 措置法第三三条の四第三項一号の買取申出において上告人の当該資産、一、土地、二、残地補償費、三、移転補償費を合計したものが同法に云う当該資産であって、昭和五一年一月一九日に一、土地、二、残地補償金、三、移転補償金のうち二、残地補償金を欠いたものは同法の当該資産には該当しないのに原審は昭和五一年一月九日の買取申出において客観的に正当な補償金額を提示しなければならないものではないからと同法の当該資産の解釈を誤って認定してしまった。同法の規定に違背して判決したと云える。控訴審も同法の規定する当該資産の解釈に当り一、土地・二、移転補償費の合計、金九、六〇三、一〇八円が当該資産であると認定し、その当該資産を称して買取申出において提示された補償金額と呼びその補償金額が客観的に正当な価格でなかったとしてもと認定したことは当該資産を補償金額に摩り替えてしまった。控訴審判決書二ページ裏四行目、中段がそうである。そこには補償金額と書かれているが、措置法第三三条の四第一項の規定を指すのであろうことは分る。同法には土地等と書かれて規定されている土地等とは個人が有する土地、若しくは土地の上に存する権利と措置法第三一条一項の規定説明されている。即ち土地若しくは土地の上に存する権利を略して土地等と措置法第三三条の四第一項に土地等と書かれている。控訴審、原審も判決に於て土地等を補償金額に摩り替えて措置法第三三条の四第三項一号の規定の摘用をした。買取申出を昭和五一年一月一九日に認定したことは憲法第二九条第一、二、三項の、条文、土地収用法第七四条第一項、措置法第三一条第一項、同法第三三条の四第一項、同法第三三条の四第三項一号の規定に違背してした。

(九) 原審、控訴審判決の理由が、当該資産が客観的に正当な価格でなかったとしても、又は土地若しくは土地の上に存する権利客観的に正当な価格でなかったとしてもあるいは財産権が客観的に正当な価格でなかったとしてもあるいは財産権が客観的に正当な価格でなかったとしてもとは何が何でも書けまい。そんなことしたら措置法第三三条の四第一項に規定する特別控除の特例があるから公共事業施行者は同法第三一条一項、同法第三三条の四第三項一号の規定が憲法、法律に違反してもお構いなしとしたので具合が悪かろう。

(一〇) 原審、控訴審が当該資産を補償金額に摩り替えて、措置法第三三条の四第三項一号の規定を摘用したのは憲法第七六条第三項の条文に違背した。

原審、控訴審判決が上告人の当該資産の譲渡が収用により公団から最初の買取申出のあった日を昭和五一年一月一九日と認定したものは原審、控訴審が措置法第三三条の四第三項一号の規定を違背、即ち同法には土地等と財産権が規定されているにも拘わらず補償金額と摩り替えたことは同法の法令を屁として独自の見解で補償金額と摩り替えて判決したことは原審、控訴審の裁判官は措置法第三三条の四第三項一号の法律により同法第三三条の四第一項に適用できるか、否か拘束されるのに独自の見解で同法の規定を勝手、気ままに変えて判決したことが憲法第七六条第三項に違背して判決したというのである。原審、控訴審判決破棄を免れない。

(一一) 措置法第三三条の四第三項一号の規定は特に収用等による資産を譲渡する場合であっても公共事業施行者から当該資産について最初に買取申出があった日から六月を経過した日までに当該譲渡がなされなかった場合には当該資産については右特別控除の規定は摘用しないと定めているのであるが、原審控訴審は公団が昭和五一年一月一九日附損失補償算定書甲第五号証により買取物件を特定したと重大な事実誤認をしたうえ、同法の規定が当該資産となっているのに勝手に変更して当該資産を補償金額と独自の見解により同法を改正してしまった。

措第三三条の四第三項一号の規定及び同法第三三条の四第一項の規定には当該資産の買取、土地等の譲渡となっているにも拘わらず、原審は買取り申出の価格とか買取価格又は補償金額と勝手に独自の見解により同法を改正してしまったうえ、乙第一号証交渉経過書で公団と交渉した上告人の交渉の仕方が気に入らないとして判決書表一七ページ一一行目ないし一八ページ表三行目迄、一八ページ裏一行目ないし一八ページ裏八行目迄、一九ページ表一〇行目ないし一九ページ裏二行目迄を取り上げ(上告人はもちろん否定した)た。

(一二) 上告人は昭和五五年八月二日横浜地裁、五〇行ウ七の判決は国民に権利利益を贈与する規定であっても、他の法律の規定に違反することは許容されないし、また法規は信義誠実の原則に従って適用されなければならないこというまでもないから右買取申出が土地収用法その他の法律に違反し又は著しく不当であるときは、公共事業施行者からの買取申出も第三三条の四第三項第一号の規定する買取申出に該らない場合が例外的にあり得ないわけではないと解するのが相当であるとも判示してその例外の場合もあることを明らかにしているものと判例を引用して昭和五一年一月一九日と昭和五五年七月七日あるいは昭和五六年七月三一日の公団による措置法第三三条の四第三項第一号の規定する最初に買取申出のあった日に当該資産、即ち、土地若しくは、土地の上に存する権利のうち(一、土地 二、残地補償費 三、移転補償費)二、残地補償費昭和五一年一月一九日は金二七〇万円、昭和五五年七月七日は金四五九万円、昭和五六年七月二〇日は金五、四〇三、一〇八円を欠いて買取申出をしたことは憲法第二九条第一項、二項、三項、土地収用法第七四条第一項に違反して公団がなしたのであるから同判例によりそれぞれ措置法第三三条の四第三項一号の規定に該当しないと主張したのに、原審は何を勘違いしたか、本件とはまったく関係のない事実認定をしたものである。

(一三) 原審判決書二一ページ表二行目ないし二一ページ裏六行目迄の理由で措置法第三三条の四第三項第一号に規定する最初の買取申出のあった日を昭和五一年一月一九日に認定したことは同法の規定の解釈を誤り、同日の当該資産が憲法第二九条第一項、二項、三項、土地収用法第七四条第一項の規定に違反して土地の上に存する権利のうち残地補償金、金二七〇万円を欠いたことで該当しない当該資産であったことを摘用しなかったことである。

上告人は原審に於て埼玉県の代理人公団より措置法第三三条の四第三項一号の規定に該当する甲第一五号証損失補償協議書昭和五六年七月三一日附で同法の規定に基づいて最初の買取申出のあった日に決定されたと主張したのに対し、原審は同法に規定する最初に買取り申出のあった日は昭和五一年一月一九日と認定した。

理由は、一、買取り申出の価格が鑑定の結果等に照らして客観的に低額であっても良い

二、買取物件の特定が明示されていれば良い

三、買取物件の対価が明示されていれば良い

である。

公団が発行した昭和五六年七月三一日附の甲第一六号証公共事業用資産の買取申出証明書も昭和五六年七月三一日附の甲第一五号損失補償協議書も同法に規定する最初に買取申出のあった日に該当しないと認定したことは埼玉県、公団、建設省が上告人が知り得る限りに於ても甲第一五号証、甲第一六号証の書証をもって同法に規定する最初に買取申出のあった日に該当させていたものを上告人に限って、原審、控訴審が認めないと認定したことは法の下に平等の規定に反する。上告人は個人として尊重される。国政の上で最大の尊重を必要とされる。基本的人権の享有を妨げられないの規定にも反する。原審、控訴審は同法に規定する最初に買取申出のあった日を公団が決定した昭和五六年七月三一日に認定すると、その時点に於ては上告人が残地補償金を甲第七号、同九号、同一〇号、同一一、同一二、同一二ノ一、同二〇号証により要求しており、埼玉県、公団は憲法第二九条三項、及び土地収用法第七四条要綱四一条により残地補償の要なしとして主張しているのであるから措置法第三三条の四第一項の立法趣旨に照らし明らかに不当と認められる特段の事情がある場合に当り当該買取り申出は例外的に措置法第三三条の四第三項一号の規定する買取り等の申出には当たらないと認定しなくてはならないからの理由だけでしないのである。

六(一) 原判決を通続して其杜撰なのには驚いた。高裁、地裁の判例結果気が緩んだのかも知れない。違憲や判例違反を形式的に避けさえすればあとはどうでもよい。理由の不備や齟齬実験則違反はもとより判断遺脱凡てお構なしと考へられてはとても叶はないこれでは国民をして心服させようとする方が無理であろう。本件の訴訟物価格は、如何にも小さかろうけれど取られる身になれば痛いのである。勿々の間にものしたこの上告理由書推敲の遑なく良く其意を尽してはいないが法令の解釈に関し重要な主張を為した心算である切に御精続と御明鑑を仰ぐ次第であるところで若し此等の上告理由にして法令の解釈に関する重要な主張を含まないとし民事訴訟法第四百二条の規定に拘わらず調査の限りでないとせられなばそは右特例に関する法律を適用せられその結果と見るところであるが仰々此の法律自体が憲法三七条一項に違反する無効の疑いがあるのではあるまいか憲法第三七条第一項に公平な裁判とは偏頗や不公平のおそれのない組織と構成をもつ裁判所に依る裁判を意味あるものにすぎないと云うことは最高裁判所の判例とするところである。然し憲法の国民に保障するところは公平な裁判であり其公平な裁判の実現を期する為めに裁判に為す組織と構成とを偏頗や不公平のおそれのない様にするのも確に良い方法であろうがこれのみに限るとなすのは聊か早計で裁判所のあろう裁判所の組織と構成とが如何に壮厳を極めていてもこれを以って直ちに憲法が保障するところの公平な裁判が出来ると信ぜられようか。要は裁判する人と法運用の如何にあるのでこれが手続に関する規定にして若し公平な裁判を阻害するものがあるならば、これも亦、矢張憲法第三七条一項の違反とせねばならないと信ずる。民事訴訟法等三九四条、同三九五条に依り上告が認められ同第四百二条により上告裁判所の裁判官に対し上告理由について調査の義務を命じているこれ裁判官の恣意尊壇を封じ公平な裁判を希求する一つの現れである。これ等の規定が若し法律に依って抹殺されたとしたら諸種の問題も残り嘆はしいことではあるが裁判官の質向上の結果なりと善意に解し締めもしようし、裁判官自身も定められたもののみについて判断すれば足り其余の分については判断の限りではなく否判断してはならないのであるから此の限りに於て裁判官の恣意専断は封ぜられるのである。ところが最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律は民事訴訟につき最高裁判所である場合には裁判所は民事訴訟法(明治二十三年法律第二九号)第四百二条の規定にかかわらず上告理由で左の各号に該当するもののほか法令の解釈に関する重要な主張を含むと認められるものに基いて調査すれば足りる」と定め前掲民事訴訟法に基く上告を認めて置きながら違憲や判例違反の法令違背については自己の主観に基いて調査するも良い調査せざるも亦可と云うことになったのである。最高裁判所の裁判官を信頼せぬかとのお叱りを受けるかも知れないが斯る規定は神ならぬ裁判官恣意専断の弊風を訓致し公平の裁判を妨げるものであり明に憲法第三七条第一項に違反するものと信ずる或は云はん此の法律の当否と原判決とは何等の関係もないとそう云って仕了へばそれまでのことではあるが此の法律には右の様な疑義が存し此の様な具合にでも結び付けなければ苦情を述べて御意見を伺う機会のない特殊の法律である御違憲を伺うを得れば幸である。

被上告人は措置法第三三条の四第一項一号に規定する公共事業施行者の買取申出は私法上の売買契約の申込みにすぎないから買取物件の特定と対価を明示すれば足りるのであって、前記公団による昭和五一年一月一九日の買取りの申出はこれを充たしていると主張した。

右の赤い棒線を引いた買取物件については乙第一項号交渉経過書には買取物件は書かれておらず特定はしていないし、また甲第五号証保障金算定書にも買取物件は記載されていない。つまり特定をしていないと云うことができる。原審に於て同日の買取物件を特定したとする証拠の書証が無いのであるから被上告人は原審に於て昭和五一年一月一九日に公団は上告人に買取物件を特定して買取申出を行ったと嘘の主張をなした。原審は判決書一三ページ裏に六行目としても、買取物件の特定及び対価が明示されていれと同日の買取物件が特定されたと認定した。

右認定は判決を根底から覆すことになる。即ち、右の青い棒線の対価、同日に買取物件の対価が明示されたと被上告人は同項の規定する土地等が土地、金八、九二八、六〇八円、移転補償金六七四、五〇〇円の合計九、六〇三、一〇八円が該当すると原審で主張につまり同日の買物件の対価は土地、金八、九二八、六〇八円を移転補償金六七四、五〇〇円、残地補償金、金二、七〇〇、〇〇〇円の合計、金一二、三〇三、一〇八円であるが残地補償金二、七〇〇、〇〇〇円を欠いても同法に規定する土地等(対価)は憲法第二九条財産権の規定に違反しても、又、土地収用法第七四条第一項、残地補償の規定に違反していても、該当すると原審で主張した。原審も判決書一三ページ裏六行目としても、買取物件の特定及び対価が明示されていれ、と同日の買取物件の対価が明示されたと認定した。

右、同日に買取物件の対価が明示されたとの認定は原審判決を根底から覆すことになる。即ち、同法に規定する土地等(対価)が同日の買取申出の日に土地、金八、九二八、六〇八円、移転補償費、金六七四、五〇〇円、残地補償金、金二、七〇〇、〇〇〇円の合計、金一二、三〇三、一〇八円であるが、土地、金八、九二八、六〇八円と移転補償金、金六七四、五〇〇円の合計九、六〇三、一〇八円と、残地補償金、金二、七〇〇、〇〇〇円を欠いても、同法に規定する土地等(対価)が憲法第二九条の財産権の規定に違反しても、又、土地収用法第七四条第一項残地補償の規定に違反しても該当すると認定した。

被上告人の原審での主張、及び原審、控訴審の同日に同法の買取申出の対価が明示されたと認定したことにより、その申出は措置法第三三条の四第三項一項の買取り等の申出に該当することによって被上告人が昭和六二年二月二八日付けで上告人の昭和五九年分所得税についてした更正のち納付すべき税額四七万一〇〇〇円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定が取り消されないで納付義務を免れない旨を規定したものとすれば、同法は憲法の財産権の規定に違反し、憲法の法の下の平等の規定に違反し、憲法の国政の上で最大の尊重の規定に違反し、憲法の権利の保持の規定に違反し憲法の基本的人権尊重の規定に違反し、憲法のすべて裁判官はその良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束されるの規定に反し無効である。

被上告人は措置法第三三条の四第一項の規定する公共事業施行者の買取申出の日を昭和五一年一月一九日としたことは同法に規定する個人の有する資産(土地等)が昭和五九年六月五日に埼玉県収用委員会により土地の上に存する権利、残地補償金、金二、七〇〇、〇〇〇円が欠けていることを知り抜くのに昭和六二年二月二八日付けで上告人の昭和五九年分所得税について更正処分をしたことは憲法の納税の義務の規定に違反し国税通則法の税務行政の公平な運営の規定に違反し同法第一五条国税を納付する義務の成立の規定に違反し同法第二四条の更正の規定に違反し、同法第三二条第一項の賦課課税方式の規定に違反し、所得税法の課税所得の範囲の規定に違反し無効である。

被上告人は本件更正処分をするべきではないことは同法の規定する個人の資産(土地等、「土地と土地の上に存する権利」)を対価と摩り替えて同法の規定の解釈を誤ったこと、対価は憲法により当該資産を財産権と呼び、財産権は措置法第三三条の四第一項の規定では個人の資産(土地等)とされている同法第三一条第一項の規定に個人が有する土地若しくは土地の上に存する権利(以下「土地等」という。)となっている

土地等とは土地、金八、九二八、六〇八円、移転補償金、金六七四、五〇〇円、合計金九、六〇三、一〇八円ではなく、外に残地補償金、金二、七〇〇、〇〇〇円が加えられた金一二、三〇三、一〇八円が同法に規定する土地等に該当するものである。対価もそうであると云える。対価、土地の上に存する権利、残地補償金を欠いたものは同法に規定する対価とは云えない。土地の上に存する権利残地補償金、金二、七〇〇、〇〇〇円を欠いた対は憲法の財産権の規定に違反し、土地収用法の残地補償の規定に違反し無効であることを知り抜いて同法同条第三項第一号に規定する当該資産を摩り替えて補償金額として(土地の上に存する権利、残地補償金、金二、七〇〇、〇〇〇円を欠いた)昭和五一年一月一九日より六月以内に補償金額を譲渡しなかったとして更正処分をしたことである(当該資産を譲渡となるところ、補償金額を譲渡ではまったく言葉の意味が違ってくるでしょう。被上告人さん)

本件更正処分をすること自体おかしいし、原審、控訴審も本件更正処分を取消すこと当り前なのにそうしないことは信義則に反するし、公序良浴に反する行為であると云われるであろうことは容易に窺い知り得るであろうことは分る。

措置法第三三条の四第一項の収用交換等による譲渡所得等の特別控除の規定は、公共事業施行者の事業遂行を容易にするため、その用地の買収が短期間かつ円滑になされることが必要であるから、早期にその資産を譲渡する等、公共事業の施行に協力した者についてのみ税制面で優遇する措置を講じ、もって社会公共のために行われる土地等の取得の円滑化を図る趣旨で立法された極めて政策的な規定と被上告人は原審、控訴審に於て主張したのに対し、上告人は公共事業施行者埼玉県の代理人公団が土地収用法第三一条の規定により手続の保留を昭和四八年二月二七日付の官報によりその旨の告示がなされたと云うことは公団は短期間にその用地の買収をするのではなく、長期にその用地の買収をするために保留の手続(何故にこのような制度が考案されたかという点については当局者は次のように説明している。「事業認定があれば土地所有者等はただちに土地に対する補償金の前払を請求できるわけではあるが、巨大な事業等によっては起業者に十分な資金的準備ができていない場合、あるいは地価の鑑定実地測量、権利者の真偽調査等の事務処理能力に限界がある場合も考へられ、一度に大量の前払請求がなされると、起業者がこれに応じきれないような事態も予想される。ところで事業認定は一つの事業を一体として行なう処分であって、その事業自体で公益性が発揮できる程度にまとまった事業単位が要求される。

したがって、起業者の資金準備や事務処理能力の都合で事業認定事体を分断して受けることは不可能なわけである。そこで起業者は事業を施行する土地(「起業地」と呼ぶ)の全部または一部について収用手続きを保留することができることとし、手続き保留地については、事業認定後においても価格固定をしない代わりに、補償金の前払い請求も認めないということにしたいのである。起業者は手続き保留を解除しようとするときは、事業認定から二年以内において都道府県知事に対してその旨及びその範囲を申し立てれ立てればよく知事が行なう手続き開始の告示によってそれまで停止されていた事業認定の効果―価格固定、補償金前払請求権等が発生すると甲第四号証に書かれている)をしたのであるから、早期にその(甲第四号証は昭和三七年六月二九日政府において閣議決定した「公共用地に伴う損失補償要綱、第三章事業の認定等§三一ないし第三章事業に認定等§三三迄、一六二ページないし、一六四ページに記述してある」の一部である。公団職員より上告人は頂いた。)資産を譲渡しなければならないとは規定されていないと主張したが、原審、控訴審は措置法三三条の四第一項に定める特別控除の特例の趣旨は、公共事業施行者の事実遂行を円滑かつ容易にするため資産の早期譲渡に協力した者に対しのみ、その補償金に対する所得税について特別の優遇措置を講じ、もって公共事業用地の取得の円滑化を図る趣旨の極めて政策的な考慮に基づく規定と認定して措置法第三三条の四第三項第一号に規定する。最初に買取り申出のあった日を昭和五一年一月一九日と認定した。

右認定は原審、控訴審が起業者埼玉県の代理人公団が昭和四八年二月二七日ないし、昭和五六年七月二〇日迄、上告人の土地若しくは土地の上に存する権利に対して収用又は使用の手続の保留をした期間中でも措置法第三三条の四第三項一号の規定が摘用され、上告人に納付義務が免れないと判決したことは公団が上告人を含む外の権利者の土地若しくは土地の上に存する権利を早期に譲渡しない旨を規定した土地の収用法第三一条に違背して判決したことになります。

措置法第三三条の四第一項の規定により公団が土地収用法第三一条の規定により手続き保留をした上告人の土地と土地収用法第三一条の規定により手続きの保留をしない土地を同じに解釈して措置法第三三条の四第三項一号の規定を摘用して上告人に納付義務を免れないとした原審、控訴審判決は、土地収用法第三一条は起業者に十分な資金的準備、地価の鑑定費用及び実地測量費、権利者の真偽調査等の事務処理能力に限界がある為、長期に渡り、事業用地を少しづつ買収しようとするのが同法の規定であるのに、手続の保留期間中である昭和五一年一月一九日を公団から最初に買取申出のあった日に認定してから六か月を経過しても上告人は当該資産を譲渡しないから措置法第三三条の四第三項一号を摘用はないとした。

上告人が有する資産は土地収用法第二十条の規定によって認定され、同法第二六条第一項の規定により、昭和四八年二月二七日付の官報によりその旨の告示がなされ、同時に同法第三一条に規定する手続の保留もなされたものであります。

措置法第三三条の四第三項第一号の規定は、公共事業施行者から当該資産につきて最初の買取り等の申出のあった日から六か月を経過した日までに当該資産が譲渡されない場合には、同法同条第一項は摘要されないとされていところであるが、土地収用法第三一条手続の保留がなされた上告人の当該資産も同法同条第一項の規定に反し、公団が昭和五一年一月一九日に於て、憲法第二九条財産権の侵害をし(土地の上に存する権利を欠いてした)土地収用法第七四条第一項の規定(残地補償金、金二七〇万円を欠いた)に違反したことを原審、控訴審は知り抜くも同年七月一九日迄に早期に譲渡しなかった上告人は措置法第三三条の四第三項第一号の規定により同法同条第一項の規定の摘用はないとした判決は憲法の基本的人権尊重の規定に違反し憲法のすべて裁判官はその良心に従ひ独立してその職権を行ひこの憲法及び法律にのみ拘束されるの規定に違反し、憲法の権利の保持の規定に違反し、憲法の国政の上で最大の尊重の規定に違反し、憲法の法の下の平等の規定に違反し、憲法の財産権の規定に違反し、以上の規定に違背して判決したものであり、原審、控訴審判決破棄を免れない。

措置法第三三条の四第三項第一号は昭和五一年一月一九日より昭和五九年六月五日迄の期間に於て公団と上告人がどのようにして買収交渉を展開(公団は憲法第二九条、土地収用法第七四条第一項の規定に違反して土地の上に存する権利残地補償金一、二九〇万円を昭和五一年一月一九日ころより欠いて、上告人は同法に規定する。資産のうちから土地の上に存する権利、権利補償金、金二九〇万円を要求)しようが、同法に規定する最初に買取申出のあった日の算定に際し右の事情により算定しろとは同法に規定されていなのに原審、控訴審は昭和五一年一月一九日をもって最初の買取り等の申出の日とすべきであると認定した。

右認定は独自の見解であって措置法第三三条の四第三項第一項の規定を違背し、同法同条第一項の規定にも違背して判決したということが云えます。原審、控訴審判決は憲法第七六条第三項の規定を違背して判決した。原審控訴審判決破棄を免れない。

措置法第三三条の四第一項及び同法第三項第一号は、昭和五一年一月九日より昭和五九年六月五日迄の起業者と権利者との買収交渉の仕方により最初の買取申出のあった日が決められる旨を原審、控訴審が規定したものであれば同法は憲法第七六条第三項の規定を違背して判決したものと云える。この点に関しても原審、控訴審判決破棄を免れない。

上告人は最初に買取りの申出があった日を原審、控訴審が昭和五一年一月一九日と決めたが、上告人はその日に買取物件は特定していないとして甲第五号証を提出したつもりだったが、原審は争わないねというのでハイと答えてしまった記憶はある。実にうっかりした。

権利、残地補償金、金二七〇万円を欠かれたことにより対価ではない対価が明示されたと主張、原審、控訴審は公団は憲法第二九条土地収用法七四条第一項に違反して残地補償金を欠いたが対価は明示されたと認定。上告人は残地補償を要求したが、公団が甲第六号証により残地収用すると申出たので、指導に従って残地収用を要求、公団が残地収用をしないと申出たので残地補償を要求原審、控訴審は上告人は残地補償を要求しない。公団は残地収用を甲第六号証でしないと認定。

原審、控訴審は右の認定等で、起業者からの資産の最初に買取申出のあった日を措置法第三三条の四第三甲第一号の規定により昭和五一年一月二九日と認定し上告人は六ヶ月が経過しても当該資産の譲渡はしなかったので同法同条第一項規定は受けられないと判決した。

措置法第三三条の四第三項第一号は最初に買取申出のあった日より当該資産を六か月以内に譲渡せねば理由いかん問わず同条同法第一項の摘用は受けさせない規定と被上告人は主張しながら、仮に公団が昭和五一年一月一九日にした買取申出の内容が著しく不当であったとしたら六ケ月経過しても同条同法第一項の摘用を受けさせると相反した主張をしたのに対し、原審は、買取物件の特定及び対価が明示されていれば良いと主張しながら、昭和五一年一月一九日の買取申出の内容が買取物件は特定されていなかったこと買取物件の対価を明示されていないことを知り抜くも買取物件の特定及び対価は明示されたと相反した認定をして判決しております。

買取申出の内容が一般的基準を甚しく逸脱し他の所有者の補償提示額に照らして極めて均衡を欠いたこと明白でその後の買収交渉に当り恣意に基づき不誠実な態度を起業者が取り続けた場合には、裁判所が例外を認め、同法同条第一項に同法同条第三項一号の摘用はしないと認定した原審、控訴審の右認定は昭和五五年八月一一日横浜地裁五〇行ウ七の判例の解釈を誤って上告人は同法同条第三項一号に規定する最初の買取申出のあった日を昭和五一年一月一九日と認定して判決をした。

原審、控訴審は右判例のどの点について違反したかと云うと、公団と上告人が昭和五一年一月一九日を除く同年同月二〇日以後の買収交渉に当り恣意に基づき不誠実な態度を起業者が取り続けた場合には例外に当るとしたこと。昭和五一年一月一九日に公団は憲法第二九条財産権の侵害をして、土地収用法第七四条第一項の規定にも違反して買取申出をしたこと鑑定結果により明白なことを原審、控訴審は知り抜くも右の事由により措三三条の四第三項一号に定める最初に買取申出のあった日が決められるという二点であります。注、上告理由書に記載の中で買取物件は特定されていないと記述したが上告人は原審の裁判長から買取物件の特定は、一三二・〇八平方メートルと示してあるから争わないねと聞かれたからハイと答えた記憶はなくもないが、実にうっかりした。)

年度別補償金一覧表

上告人の損失の補償から埼玉県の代理人首都高速道路公団第三建設部が残地補償金を欠いたことにより違反・違法・違背した憲法・法律一覧表

昭和五一年一月一九日・昭和五五年七月七日・昭和三六年七月三一日財産権である残地補償金を欠いたこと及び昭和四八年土地実測図製作をしたことにより違反した憲法法律の一覧表

〈省略〉

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